第7話 頭痛
どうにかしてナースコールを鳴らそうと、不器用な子猫が猫じゃらしに
「まゆ〜、どうしたの〜(泣)……って……何やってんの!?」
こ、この声は!
私の親友、
さすが、はっしー! このピンチを察して駆けつけてくれたのね〜!
はっしーとは、しょっちゅうリモートで話をしているが、直接会うのは本当に久しぶりだ。
まさか、こんな形で再会するなんて……。
「(虫の鳴くような声で)は……はっしー、ごめん……手に……ち、
「『呼んで』も何も……八代さん!」
「ん、どした?」
あれ? そこに居たの!?
……落ち着いてみれば、HCUは『準集中治療室』だから、看護師さんは声を出せばすぐ聴こえる所に居たんだった! テヘペロ〜(←古っ)
「あら、遥さん、ナースコール押そうとしてたの? ごめんごめん! 気付かなかったよ」と、八代さんが申し訳無さそうな声で言った。
「こ、こちらこそすみません……いや、あの……ちょっと頭が……痛くて痛くて……」と、やっとの思いで伝えた。
すると……
「あ〜、それね〜 ……遥さん、まだ若いからね」
『若い』? この頭痛って、年齢と何か関係があるの!?
八代さんがバイタルモニターを見ながら「血圧もSpO2(酸素飽和度……血液中の酸素濃度)も問題無いけど、一応先生に伝えるね。 ちょっと待ってて〜」と言って、奥に内線をかけに行ってくださった。
はっしーが……「今日、休日当番で待機してたら『入院時
私が事のあらましと冠攣縮性狭心症の事を伝えると、かなり驚いた様子だった。
「
「ん……いや……まあ……どうかな……」
素直に返事が出来ないのは、やっぱり私はここの従業員だからだ。
「橋本さん、ちょうど良かった! 遥さんをCTに連れて行くのを手伝って貰える?」と言いながら、八代さんがベッドのストッパーを外した。
CT!? やっぱり出血してるの?
「あ、遥さん、心配しないで良いわよ。 院長が『この際だから、遥さんの全身メンテナンスしてあげな〜』って軽く言ってただけだから」
それなら良いけど、この頭痛は今まで経験したことが無いから、どうしても心配になってしまう。
八代さんもはっしーも、慎重にベッドを移動してくれているが、エレベーターに乗った時のガタつきだけでも頭に響く。
「まゆ、ごめん……もう少し……もう少しだからね! 頑張って!」
……はっしーとは長い付き合いだが、こんなに優しい言葉をかけて貰ったのは初めてだ。
逆にそれが他人行儀……と言うか、不自然な感じがして、少しだけ……怖かった。
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