第2話 陽光

 数日後……


 私は兄の自動車に乗せて貰い、少し離れた所にある精神科のクリニックで診察を受けた。


 ……自分でも全く気付かないうちに、かなりメンタルが傷ついていたようで『適応障害』と『うつ病』との診断を受けた。


 確かに、人身事故や自殺のニュースを観たり聴いたりする度に……


『楽になれたんだね! 良かったね!』

 と、こちらまで嬉しくなっていた。


「私も……早く楽になりたい……」

 ……この考えが無くなるまで、そして、完全に疲れが癒えるまで、私は自宅療養することになった。


 診断書を頂き、薬局でお薬を頂いた。


 ……初めての『抗うつ剤』だ……


 私、本当に……うつ病って診断されちゃったんだな……。 そう考えると、自分の不甲斐なさに涙が出た。



 薬局を出ると、陽の光の強さに目がくらんだ。


 臨床検査技師の仕事は、検査室に閉じこもっての検体検査が大部分を占めている。 たまの休日は、疲れから一日中ゴロゴロして暮らすので、陽の光に当る事は、ここ暫く無かった。


 まともに働けなくなってしまった自分が陽の光に照らされ、周りの人々に嘲笑されているような気がして、私は隠れるようにして兄の自動車に乗り込んだ。

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