第3話 湯治

 定期的に精神科クリニックに通い、とにかく回復することをに、日々を過ごしていた。


「ミャ〜ウ ニャ〜〜オ」


 ……ペット猫の『マチコ』が、甘えた声ですり寄ってきた。


『マチコ』は去年『町野中央病院』で保護した、産まれたばかりでヒゲを切られ、捨てられていた子猫だ。 (拙作『はい! 『はるか』です! 新米臨床検査技師の奮闘記』第7章『アレルギー』をご参照下さい)


 精神科クリニックの先生も仰っていたが、ペットと遊ぶのは、『アニマルセラピー』とも呼ばれ、精神的にとても良いそうだ。


 ……猫用の玩具おもちゃでマチコと遊びながら、私自身がマチコとこんなに長時間遊んだのは初めてだった事に気が付いた。


 我が家は全員が猫好きなので、必ず誰かがマチコと遊んでいたが、私はたまにゼリー状のエサをあげたり撫でたりしてあげていただけだった。


 私も、無類の猫ちゃん好きではあったが、子供の頃に、猫の皮屑ひせつアレルギーがあった事や日々の疲れから、遊んであげられずにいたんだ。



 毎日のように母と買い物に行ったり、父や兄貴が、休日に連れ出してくれた。


 ……サターン対策で休園の場所も多かったが、家族でバカ笑いしながらのドライブはとても楽しかった。


 こんな家族の優しさが、私の心を湯治のように『即効』では無く、じっくりじんわりと癒してくれた。

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