第10話『作戦・P』
さて『
平たく言えば、数人分の検体を混合して測定する『検体
恐らく読者の方々は、そんな乱暴な方法があるのか? ……と疑問を持たれると思う。 ……正直、私もそう思っていた。 しかし、これは厚労省にも認められている方法なんだ。
普通の検査では、何人もの検体を混ぜると、当然検体が薄まってしまい、陽性率を下げてしまう。 『偽陰性』と呼ばれる状態で、あってはならない事 ……の筈なのだが、今回は『PCR検査法』という、独特な検査方法だからこそ許容される理由がある。
『倍々の威力』という言葉をご存じだろうか? ……例えば、紙を42回折ると、その厚さは月に到達する……と言われている。
1→2→4→8→16→32→64……と、単純に数値を倍にしていくと、最終的には天文学的な数になる。 PCRは、この『倍々』を繰り返す事により、微量なDNAやRNAを存在証明可能値まで増幅し、陰性か陽性かを判断する。
……その為、ある程度希釈された検体でも、そこに含まれる『サターンウィルス』のRNAは、倍々増幅により検出可能な値にまで引き上げる事が可能となる。
……とは言え……やはり、万が一『偽陰性』が発生してしまったら大変な事になる。
その為、私は墨台さんに協力して貰い、濃度や条件を変えて、何度も何度も検証を繰り返した。
その結果……当センターの装置では、相当数の希釈にも充分な結果を出せる事が判ったのだ!
……厚労省が推奨しているプールは5名。
つまり、通常の5分の1の時間で結果を提出可能なのだ!
※本作はフィクションです。 プール検査は、感染者が出ていない医療機関や高齢者施設で陽性者が居ない可能性が高い場合での使用が推奨されております。 その点をご理解の上、本作をお楽しみ下さい。
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