第3話『PCR検査センター』

 翌日は少し早く起きて、久しぶりにスーツに袖を通した。


 くっ! ち……ちょっと……どころか、かなりキツい! ……間違い無く、昼ご飯の食べ過ぎだ! ←自業自得


 ま、まあこれから毎日、今の1.5倍近く自転車をぐことになるから、体重の1つや2つ減るでしょ! ……いや、筋肉が付いて今度はパンツがパツパツになるか?

……と、下らないことを考えながら出発した。


 昨夜ゆうべは緊張して良く眠れなかったけど、いつもより冷たい朝の風のお陰で、スッキリと目が冴えている。



『東戸中央クリニック』に到着した。 ……想像以上に早く付いてしまったので、近くのコンビニでアイスミルクティーを買って飲んだ。 当然『あっ! しまった! 無糖の物にすれば良かった!』……との後悔は先に立たず、しっかり飲み干してしまった。


 ……約束の時間10分前になったので、正面玄関横の『緊急時受付』インターホンを押し、入れて貰った。 


 人事担当の穂上さんは、急遽別の施設に行かれたそうで、今回は代わりに医事課の『成瀬』さんと言う女性の方が案内してくれる事になった。


 クリニック内は病院とは全く雰囲気が違う。『町野中央病院』は二次救急病院で、様々な人が引っ切り無しにせわしく動き回っているが、クリニックは外来診察のみなので、始業前は全体的に落ち着いている。


はるかさん……は、検査の技師さん……で宜しいんですよね?」


「はい……『臨床検査技師』です」


「『レントゲン技師』さんとは違うんですか?」


「はい」


 ……臨床検査技師の認知度は非常に低く、上のような会話が度々繰り返される。


『レントゲン』こと『診療放射線技師』は『放射線』を使って透視を行う検査を行い、検査技師はそれ以外の検査を担う……と思って戴くと良いだろう。



 朝礼の時間となり、クリニックの職員さん達と初めてお会いした。 事務さんと看護師さんがメインだ。 ……私が常駐する事になる『PCR検査センター』は、基本、私だけのセクションとなるが、暫くするとパートの事務の方が配置される……との事だった。



 ……朝礼が終わり、成瀬さんに連れられて『PCR検査センター』に向った。


 そこは……まさしく近未来的な空間だった!

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