第9話 晴海

 今日は、いつもより長話ながばなししてしまったので、すっかり日が落ちた。


 晴海は、満天の星と東京の夜景、穏やかな波にきらめく誘導灯や艦船の照明が美しく調和して、夢のような空間だ。


「今日、僕ははるかさんにお伝えしたい事があって、晴海ここにお連れしました」


 ……晴海は、真也しんやさんがつらい時や寂しい時に良く訪れる、大切な場所だと言う。


 私にとっての『サム』と一緒だ。



 出会ってからずっと私の横にいた真也さんが、初めて正面に立って、私を見詰めた。私も真っ直ぐに真也さんを見上げた。


「僕は、出会った人すべてを幸せにしたいんです。 当然、僕自身も、友達や知り合いも、みんなを幸せにしたい。」


 ……真也さんは、私が頷いたのを確認して……


「僕は、愛する真優さんを、絶対に幸せにすると誓います。 真優さんのご家族も、いつか子供が出来たら、その子供も幸せにします。 だから ………結婚して下さい!」


 ……真也さんは、少年のように澄んだ眼をしている人だ。


 この人となら、どんな事があっても、乗り越えられる。


 もし、長い人生で、真也さんに何かがあったとしても、私が幸せにしてみせる。



 ……私の心が、身体が、そして……この世界すべてが、口にすべき、ただ1つの言葉を私に教えてくれていた。


 そして、勇気を出して告白してくれた真也さんの誠心に応えるように、私も、全身全霊を捧げて、その言葉を口にした。


 「……はい!」

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