第5話 火花

 「お母さ〜ん、早く〜」


 「ちょっと待って! お化粧のノリがイマイチなのよ!」


 …今日は、いよいよ大林さんの息子さんとお会いする日だ。


 大林さんから送られて来た写真は… お世辞良い男って所…かな!


 でも、笑顔が素敵な人だった。


 ちなみに私は、悩んだ末、結局、成人式の写真と、少し前に検査室で撮って貰った写真を送った。




 真也さんとは、上野の有名なレストランでお会いする事になった。


 今日は、家族全員お休みなので、兄貴が自動車でレストランまで送ってくれる事になった。



 …やっと母の準備が出来た。 お母さんがお見合いするわけじゃ無いんだから…。


 「だって、もしかしたら息子になるかも知れないのよ!」


 …気が早い!



 出掛けに父が


 「背中向けろ」


 …と言ったので、うしろを向くと、『カチッ、カチッ』…っと変な音がした。 振り向くと、火打ち石だ!


 「なに? それ!」


 「厄除けのまじないだ。 今日の為に、わざわざ買ったんだぞ」


 …母と私は、大爆笑! お父さん、本当に面白い…。 一気に緊張が解けた。 


 ありがとう、お父さん。

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