第6話 別離……

 真也さんは、私が想像していた以上に素敵なかただった。


 その上、お話も面白く、紳士的だった。


『今迄、付き合った人は居ない』と仰るが、信じられない。 …不安があるとすればそれだけだ。 こんなに良い人に、彼女が居なかったわけがない!


 もし、誰かと付き合った事があるとしたら、私に嘘をついている事になる。


  ……過去に誰かと付き合ってたからって、別に批難なんてしないのにな…。


 



 サム、どう思う?


「……ふむ……真優も付き合った人がいないじゃないか……。 この時代、結構そんな人が多いんじゃないかな?」


 ……なら、良いんだけど……。


「真優……」


 ん?


「もう、俺と話をするのは止めた方が良い……と思う」


 なんで……? なんでそんな事言うのよ!



「俺は、真優の『寂しさ』が創り出した存在だ。 俺は、真也しんや君を信じる。 彼なら、俺の代わりに、真優の寂しさを消してくれるはずだ」


 サム……


「ただ1つ、最初で最後の願いを聴いてくれ」


 何?


近江みおと会う時だけは、俺を呼んでくれ! 俺、みおの『サムちゃん』って呼び方、好きなんだ」


 判ったわ、任せて!


 ……ねぇ、サム


「なんだ?」


 ……今迄、私を助けてくれて、本当に、本当にありがとう。


「おう!」


 ………。


 ……私の中で、サムは、ただの『親指』に戻った。


 でも、寂しさを感じない!


 私の心を、とても大きな存在が占めていたから……だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る