第3話 本職
あ、
そう、『思い出』の、『あちら』の
「お嬢ちゃんは、これが本職か!」…と、さっき聞こえた怒号を発していた人と同一人物とは思えない
私は、名札を見せながら「はい〜。 臨床検査技師の『
仰向けに寝てもらい、『解剖学的姿勢』をとってもらう。 …こんなに録りやすい患者さんは久しぶりだ。
…記録を始めると、程なくして『
今回は、先生が視たいと言っていたので、少し長めに記録した。 …すると…
立て続けに、
少々、時間がかかったので大山先生が見に来た。
「こりゃ駄目だ! 小野寺さん、即、入院しないと死んじゃうよ!」 …と言った。
小野寺さんは、さっきまでの元気は
心電図の電極を外し、「お大事にして下さい」 …と帰ろうとすると、小野寺さんは小声で 「オレ、ホントに死んじゃうの?」 と
例によって、「私たち技師は、結果を言ってはいけないって、法律で決まってるんです…」 …と言うと…
「そうか …悪かった」…と、しおらしく言った。
ちょっと可哀想になったので、「先生とか、看護師さんの言う事をしっかり守って、早く良くなって下さいね!」…と言うと、私の手を両手で掴んで、何度も
その後、入院中は一切、問題行動を起こさず、笑顔で退院して行った。
入院費も、ちゃんとお支払いになったそうだ。
その時、何故か病棟看護師に呼ばれて、見送りに
女性も私を憶えてくれていたのか、にこやかに手を降ってくれた。
暫くすると、私の二つ名が『姐御』になってしまった…。
ありがたく…は、無いな…。
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