第8話 帰宅困難

 全ての装置を確認したが、問題無さそうだ。


 放射線科レントゲンが心配で見に行ったら、はっしーとレントゲンの技師長、山本さんが、私たちのように半額アイスをいた。こちらも問題無かったようだ。


 検査室に戻ると、既に22時を回っていた。


「後は俺、やっておくから、帰って良いよ」と技師長が言ってくれた。


「クロスマッチ、大量にありますけど……大丈夫ですか?」


「大丈夫。それより、自転車で大丈夫か?」……と、こちらの心配をしてくれた。


 雨も小降りになったし、家も心配なので、お言葉に甘えて、先に帰らせて貰った。 帰り道もあちこち冠水していて、迂回しながら帰宅した。



 家に着くと、兄貴は自動車通勤なので帰っていたが、父は電車が停まって、立ち往生しているらしい。


「お父さん……帰って来られるかしら……」……と、母が心配そうに言った。


 その顔を見て、私はさっきの、手術オペ室前にいた森さんの奥さんを思い出していた……。

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