第7話 半額

 停電してから3時間近く経った。 手術が始まってから8時間経つ。 



 ようやく雨はピークをこえたが、未だに停電のままだ。 輸血検査も問題だが、現時点での問題は冷凍庫フリーザーだ。通常、マイナス30度をキープしているだが、停電でその表示も消え、昔ながらの温度計で計測すると、内部温度はマイナス10度まで上昇している。


 技師長が、近くのコンビニで、ロックアイスを買ってきて、フリーザーに入れた。 『焼け石に水』だが、何もしないよりは良い。


 技師長がついでに、かき氷アイスとカップ麺を買って来てくれた。 アイスは既に溶け始めている。


 「コンビニも停電で、アイス半額だったよ」と、苦笑いした。 確かに、飲んじゃった方が早そうだ。


 「それにしても、停電すると何も出来なくなっちゃうんですね」


 「全くだ。 非常用電源があるから…と安心してたけど、こんな長時間になると、どうしようもないな…」 




 しばらくして、ようやく電力が復旧した。 フリーザーの温度表示も回復し、徐々に温度が下っていく。


 良かったあ〜!!


 おっと危ない! 技師長と抱き合って喜ぶ所だった!


 二人で手分けして、全ての装置を点検した。 落雷のあとは故障が多いからだ。

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