番外編 名探偵サム

第1話 突っ込みどころ満載!

 俺の名は『サム』 ……『はるか 真優まゆ』警部……通称『ハルさん』の親指だ。


 ここは、捜査一課。 日々、発生する殺人事件を捜査する、警視庁の花形部署だ。


 捜査一課の五木いつき刑事長でかちょーの電話が鳴った。


 「もしもし、俺だ。 ……なに? 殺し? 場所は?」 


 殺人事件発生のしらせだ。 捜査一課の面々に緊張が走る!


「京東町で殺しだ」……刑事長でかちょーの一言で、ハルさん(と俺)たちは現場に急行した。


 現場では、鑑識が指紋を取ったり写真を撮ったりしている。


 ハルさんが、先に到着していた都警部補ミーヤさんに「被害者ガイシャは?」とくと、ミーヤさんは警察手帳を見ながら「被害者ガイシャは、大家田おおやだ 善蔵ぜんぞう 65歳。 不動産会社の社長ですー。 死亡推定時刻は、昨日の23時から24時ぃー。 ……死因は、青酸カリによる毒殺……ですねー」


 ハルさんが被害者の顔にかけられた白い布をめくると、苦悶の表情の顔が見えた。


「ふん、悪そうな顔してるな……」


 ハルさんの独り言に答えるようにミーヤさんが「被害者ガイシャさん、近所の評判は悪いし、仕事でも、相当恨まれてたようですよー。」


 「そうかあ」 ……ハルさんは、ぶっきら棒に布をかけ直した。


 近江刑事ミオちゃんが黄色い規制線をくぐり、 「ハルさん、被害者ガイシャの部屋は、内側から鍵が掛かっていたそうです。」


 ハルさんは、渋い表情で「密室殺人……か」と言った。


 ミーヤさんが女性を連れて来て


「ハルさん、お手伝いの加藤さんですー」と紹介した。


「私が下の階で、テレビを消してそろそろ寝ようと思っていたら、旦那様の部屋から大きな音がして…… 慌てて部屋に行くと、鍵がかかっていたので、合鍵で開けたら ……旦那様が、こ、こんな姿に〜」と泣き出した。


「おい」 ハルさんが近くにいた婦警に声をかけた。 婦警は加藤さんを抱えて、部屋を出て行った。


 ミオちゃんが 「合鍵は、お手伝いさんが持っていたひとつだけのようです。」


 ハルさんが「……完全密室……だな……」と、顎に手を当て、考え始めた……。

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