第3話 個性的

 「失礼すずれいします〜」


 独特なイントネーションで、検体を運んで来たのは、実習生の津田さんだ。


 津田さんは、秋田出身だそうだ。 『秋田美人』とは良く言ったもので、女の私が見ても惚れ惚れする容姿をしている。


 この前の歓迎会の一件から、実習生の皆さんは私に親しみを持ってくれたようで、目が合うだけで笑顔を見せてくれたり、話しかけたりしてくれる。 


 津田さんも、親しみからか人見知りなのか、検査室では私にだけ話しかけたり、質問したりしてくれる。


 技師長が、からかい半分に、「津田ちゃん、はるか以外とも話ししてよ〜、さみしいよ〜」と言っても、はにかんだ笑顔で答えるだけだった。


 津田さんの他にも、今年の実習生は中々の個性派揃いで、圧巻なのはむろさんだ。 


 室さんは、全てのパーツ、並びに声が特大で、病院のみんなから『ボス』と呼ばれている。 普段着は着流しの浴衣に下駄履きだ。勤務3日目で、隠れて買い食いしていた糖尿病DM患者をるし上げたと言う、私に負けず劣らず、物凄い伝説を残した実習生だ!


 念の為に申し添えておくと『ボス』は、れっきとした18歳の女の子だ。


 

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