第3話 輸血拒否

 検査室に入るなり染谷師長が


はるかさんお疲れ。……ごめん! 血液センターに頼むの、ちょっと待って」と言った。


 血液センターから買った血液は、期限前に患者に使われないと、病院の損失になる。 特にAB型は使用頻度が少ないので、使われずに廃棄する可能性が高い。


 ……だからと言って、今、頼んでおかないと間に合わなくなる公算が大きい。


Hbハーベー3ですよ! 待てって…… ステっち死んじゃいますよ!? 先生の指示ですか?」


「家族の同意が取れないんよ。何か、教祖? の教え? で『選ばれざる者の、けがれた血を娘には入れられない』って……」


 そんな……。


 染谷師長のPHSが鳴った。 先生からのようだ。


「……判りました。 対応します」


「どうなりました?」


「家族も本人も輸血拒否の意志が硬いって……。 無輸血治療を希望するから、当院での治療はここまで。 転院になるから、救急車アンビ呼ぶわ」 といって、処置室に戻って行った。

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