7日目
6時に目覚ましが鳴って、まだ眠くて、うごうごしたり伸びたり窓の外の光を見たりして、なんとか起きた。もっと早く寝る努力がしたい。
午前中、切手を買いに郵便局へ。社会教師に出す暑中見舞いに貼るものを探しに。夏らしくて可愛い切手があって、ご機嫌で買って帰った。10枚入りしか無かったけど、可愛いから飾っても良いかもしれない。夕方会えたら住所を聞きなおして、宛名を書いて、明日にはポストに投函するつもりだ。
切手の支払いをしてくれたお姉さんが、夏っぽくて良いねと話しかけてくれたので、暑中見舞いに貼ろうと思うんですと話した。話すのが最初で最後の人とは話しやすい。
午後、母に典型的な説教をされた。そうとても典型的な。勉強しなさいって。学力あるから生き易い世界でもないんだよな~という言い訳を口にする勇気は無かった。わたしには書くことの方が人生においてよほど幸せなのである。
ふと思う。わたしは自分が生きる意義的なものをもう見つけているんだなぁと。わたしは書きたい。書き残したい。わたしの全てを。そうすることがわたしの生まれた唯一の意味で、意義で、理由で、使命なのかなとさえ思えてくる。誰も望んでいなくたってわたしは書く。だからそういう意味ではわたしは幸福なのかなぁと思う。
夕方、社会教師はやはり来て、また少し歩きながら駄弁る。
わたしが貸した本がとうとう最終章に差し掛かっているらしい。随分と読むのが早い。どうやらわたしの想像以上にとんでもなくあの本が気に入ったらしく、仕事中も読みたくて読みたくてしょうがないと。仕事してねちゃんと。一応(元)教師と生徒の話だから、自分とわたしの関係にすごく似ていて面白いんだと言っていた。うーん。ちょっと違うような…。
「あの本、前好きだった人は読んだの?」
と言われた。一瞬なんのことかサッパリだったけど、たぶん元担任のこと。そういう好きとは違う…ってそれは今いいか。元担任は読書の習慣なんて全く無くて、本好きのわたしを見て驚くような尊敬するような顔をしていた人だし、勧めたってまぁ読まないだろうしそんな暇な人じゃないし(まるで社会教師が暇人だというようだが実際まぁまぁ暇人なのである)。そもそも勧めようとも思わなかったし。要するに読んでない。なんでそんなことを聞いたのだろうか。
それから本のワンシーンの話をして、社会教師によればその頭を撫でる行為がすごく自分とわたしを連想してたまらなかったと。とにかくすごくすごく気に入っているようで、心底驚く。半分冗談で勧めたわけだし、長い小説だから読まないだろうとも思っていたくらいなのに。気に入ったならなによりではあるのだが。
明後日は社会の日。要するに、社会教師が3年生だけ特別に、聞きたいことがあったらこの日は教えるよと時間を空けている日。もちろん他の教科の日もある。だからわたしはそれを口実に学校に行きたいのだけれど、社会ってのは暗記科目だから、質問したいことなんて無いんだよなぁ。
という話をしたら、聞きたいこと無くても来るんだよ、と言われた。意味が分からない。何のために行くのよそれじゃあ。え~…と言ってもそれを貫く。わざわざ学校来たのに、聞きたいことはありません!なんてそんなのおかしいでしょう。
それから暑中見舞いいつ出すのという話になって、住所を聞き直して、明日くらいに出しますと伝えて、別れ際にふと、「来年も…再来年も書いてね。暑中見舞い。」と言われた。うーん……難しいんじゃないかなぁ…と返す。どうせ、たぶん、生きてるけどさ。でも分かんないじゃん。出来るなら早く死にたいじゃん。だから難しいよ。きっと。とは、言わないけど。「ぇえーーー。書いてくれないと……行けないよデズニー。」本のワンシーンをこういう時もってくるあたり、トークの上手い人なんだろうなと思う。ってそうじゃなくて。
暑中見舞いのお返事、どうやらわたしへの宛名を書いたことに留まらず、どんな風に書くか何パターンも考えているらしい。わたしからのが届いてから考えてよ…。
ともかく、今夜宛名を書いて仕上げて、明日、暑中見舞いを投函する。
やりたいこともやるべきこともたくさんあって、でもわたしは動く速度がひとより遅くて、危機感を感じられないし諦めははやいから、ああ、どうすればいいんだろ。
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