第2章「ドロドロ、学園嫉妬試合」
第11話「レヴィアタンの影」
事件を解決したアンジュとグリフィス。
エキドナ曰く「二人の事、言いふらしちゃったZE☆」らしい。
その話を聞きつけてか、彼女たちの元に軍人がやってきた。
狼の耳と尾を持つ男の軍人。名前をアイビスと言う。
「この度の騒動を解決してくださったのが貴方たちだと聞き
やってきました。お礼を言わせてください」
「こっちにも非はあったからな。お前、それなりに高い階級の
軍人だろ。それに話を聞いて柔軟に考えられる。そんなお前に
こっちの事情を知って欲しい」
「分かってますよ。エキドナ殿から話は聞いていますので…そちらの
人間がアンジュ・リリィ様ですね」
アイビスは彼女に目を向けた。
「魔導書については此方でも話は出てますよ。確かに管理はしていましたが
管理職の者が全員殺されていました」
「それで誰かに持ち去られてアンジュの元に来た…」
アイビスは頷いた。厳重な管理でもふとすり抜けてしまうこともある。
軍部で管理職以上の階級に就いている者にも疑いの目は掛けられている。
しかし犯人はハッキリしていない。
「今回の事件、色欲の悪魔アスモデウスを騙った堕落した天使
ザドキエルが起こした事件なんです」
アンジュは彼に今回の事を色々教えた。ザドキエルが話した複数犯説。
彼女たち天使は悪魔に濡れ衣を着せて悪事を働いていた。
「天使でもそんなことがあるのか。神聖な天使たちが悪魔を嫌っているのは
理解できるが…ふむ、我々にとっては悪に見えても彼女たちにとっては何かしらの
浄化活動なのかもしれないな」
「だとしても可笑しいです!あんなのが天使だなんて、信者だったら
ガッカリしちゃいますよ!!」
アンジュは怒っていた。ザドキエルたちの行動は他人に自分たちの思想を
押し付けている。独善的だ。
「そういう思想は押し付けるものじゃないからな。押し付けたいなら納得できる
理由を作り、言葉で訴えて欲しいものだ」
グリフィスも肩をすくめる。
「七柱の悪魔のうち二柱は保護済みなんですよね」
「保護ってのも語弊があるがまぁ良いか」
クマ姿のベルフェゴールは反抗しない。説明せずともアイビスは彼等の正体を
知っているようだ。
「こちらから正式な依頼をしたいのだが、よろしいだろうか」
「珍しいな。軍部が一般市民に依頼なんて」
「貴方たちの先の活躍を見込んでの事ですよ。魔導書を開ける
人間を庇護しているのも貴方でしょうに」
「その魔導書なんですけど、他の人には扱えないんですか?」
アンジュは恐る恐る手を挙げて聞いた。
「えぇ、まぁ…古い書なので情報は少ない。それに古い情報は時が
流れるにつれて都合が良いように歪められてしまうことがほとんどなので
確実な答えは出せませんが」
その時代の人々の都合で真実が隠されることもある。それは当たり前と
いえば当たり前の事だ。
「人攫いが頻発しているのです」
狙われているのは富豪からちょっとした町での有名人など。全員に共通しているのは
何かしら凡人から見れば羨ましいなぁ、と思えるような何かがあること。
「嫉妬って奴ですね」
「そうです。それが分かればどんな悪魔か分かるのでは?」
「レヴィアタンか。嫉妬を司る悪魔」
悪魔本人が悪事を働いているのか、アスモデウスの時と同様に
堕落した天使がレヴィアタンに濡れ衣を着せているのか。
言わずもがな濃厚なのは―。
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