第2話 伊能忠敬邸殺人事件

 貸金業を営む場合は国(財務局)や都道府県に貸金業としての登録を行う必要があるが、闇金融はこうした登録を行わずに出資法の制限を超える金利を課して人権を無視した取り立てを行うもの、または登録しながらも同様の犯罪を起こすものであり、暴力団の資金源となっている場合が多い。


 闇金融は例えば2万円を貸して10日ごとに1万2000円を利息として支払わせるというような手口が知られている(年利に直すと2,190%)。ダイレクトメールや携帯電話などを用いて勧誘したり、スポーツ新聞などに広告を掲載、または電柱、公衆電話などに広告を貼り付ける違法広告も知られている。官報などを見て自己破産者などを対象にダイレクトメールを送り付ける場合がある。


 当初は非常に低利な融資条件を提示するが、実際に貸す段になると上記のような超高金利を求めるというパターンが多く、保証金などの名目でお金を騙し取り融資をしない融資詐欺(貸します詐欺)もある。


 主に電機メーカー、自動車メーカー、都市銀行などの大手企業や上場企業に酷似した商号やロゴを使用してあたかもグループ会社であるかのように詐称し、「○○のグループ会社なら安心」と誤認させ営業することが多い(これらの企業とは全く無関係)。ヤミ金の本拠地は東京、名古屋、大阪、福岡といった大都市圏にあることが多い。もっとも、HP上に住所、代表者の氏名、貸金業登録の許可番号が明記されていない(あっても偽の番号)ので一般的には見分けがつきやすいが、注意を要する。


 貸金業法により、無登録業者が貸付の媒介、チラシ等による貸付の勧誘を行い実際の貸付に至らなかった場合でも無登録営業として法律に抵触することになる。


 長崎の説明は実に分かりやすかった。どことなく柴田恭兵に似ている。


 西野は勤務していた食品会社を解雇され、香取市に旅行しに来た。転職活動は上手くいかない。息抜きは必要だ。

 佐原駅から徒歩15分のところに伊能忠敬旧宅はある。

 伊能忠敬旧宅は、平屋造の瓦葺で、正門・炊事場・書院からなる母屋、店舗、土蔵からなる。

 母屋は玄関、書斎、納戸などの5室、建坪は24坪で、店舖は店および居間などがあって建坪32坪である。

 伊能家は佐原の有力な家の一つであり、酒造業や米穀売買業などを営んでいたが、忠敬は1762年(宝暦12年)に17歳で伊能家に婿養子に入り、1795年(寛政7年)50歳で江戸に出るまでこの旧宅に住んでいた。店舗・正門は忠敬が来る前に建てられ、書院は忠敬が設計したと伝えられている。


 旧宅の南側の奥には観音開きの戸が広まる以前の引き戸形式の戸を持つ土蔵が建っており、かつては忠敬の遺品の多くが納められていた。


 以前は旧宅の敷地内に伊能忠敬記念館があったが、現在は旧宅前の小野川をはさんで向かいに建っている。また、旧宅の敷地内には旧宅前の樋橋により対岸に水を渡していた水路が残っている。


 1930年(昭和5年)4月25日、国史跡に指定された。


 西野はとんでもないものを見つけた。土蔵の中で生首を見つけたのだ。記念館の職員に事情を話した。職員は警察に通報し、やがて覆面パトカーが到着した。

 リーゼントヘアでスーツスタイルなのが沼津ぬまづ、七三分けでアロハシャツにダメージジーンズなのが根来ねごろというらしい。

 2人とも香取署刑事課の職員で、沼津が警部補で根来が巡査部長だそうだ。

 被害者の身元を知って西野は震えた。

 野田晴之のだはるゆき、西野が勤務していた肥前食品に勤務していた社員だ。

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る