香取殺人事件

鷹山トシキ

第1話 謎が深まる

 香取市は水郷と呼ばれる国道51号沿線・利根川付近の都市の一つであり、街道と水運が交差する河港商業都市。佐原の商家町や香取神社の総本社である香取神宮の鳥居前町として有名である。米の出荷量は千葉県で第1位である。


 佐原は伊能忠敬が商人として活躍した地であり、伊能忠敬旧宅(国の史跡)が保存されている。また、国宝である伊能忠敬関係資料が保管されている伊能忠敬記念館が所在する。樋橋の落水(日本の音風景100選)、横利根閘門ふれあい公園(日本の歴史公園100選)、府馬の大クス(かおり風景100選)など歴史と情緒の溢れる小江戸・水郷の町並みが色濃く残り、佐原三菱館(1914年建築)、正文堂書店店舗(1880年建築)、小堀屋本店店舗(1900年建築)、福新呉服店(1892年建築)、中村屋乾物店(1892年建築)など歴史的建造物が多く現存する。


 香取神宮は日本神話で大国主の国譲りの際に活躍する経津主神(フツヌシ)を祭っており、同じく国譲りの際に活躍する武甕槌神(建御雷神、タケミカヅチ)を祭っている鹿島神宮(鹿嶋市)との関係が深い。


 千葉県北東部に位置し、県庁所在地である千葉市から約45キロメートルの距離である。東京都の都心から70 - 80キロメートル圏内である。都市雇用圏における成田都市圏(成田市)に含まれ、成田市への通勤率は12.7パーセント(平成22年国勢調査)。利根川を挟んで対岸の茨城県と接する。


 関東平野に含まれ、内陸部は下総台地が広がり、利根川沿いでは50メートルを越える所もあるが、標高は概ね20 - 40メートルであり、なだらかな起伏が続く台地である。利根川周辺は水郷地帯が広がる平野になっており、水田に利用されている。霞ヶ浦流域自治体の一つ。


 倶利伽羅の遺体はラブホテル『ハート』の17号室で見つかった。ベッドや壁にドス黒い血が飛び散っていた。

 傍らにスマホのメモ機能が落ちていて『支払い』と記されてあった。

「ダイイングメッセージかな?」と、鈴江。

 俺たちはライバルの香取署の捜査陣に組み込まれた。

「闇金から取り立てられていたのかな?」と、俺。

 俺は刑事をする前は介護ヘルパーをしていた。倶利伽羅は当時、ケアマネだった。今じゃ副施設長に出世していた。俺は仕事が遅いとよく殴られた。倶利伽羅は遅刻しても、勤務中にパチンコやってもクビにならない。

 倶利伽羅の死因は頸動脈を鋭利な刃物によって切られたことによる。

「倶利伽羅ってのは1人で来たわけじゃないだろ?女はどこに行ったんだ?」と、鈴江。

 ゴミ箱の中は空だった。コンドームでも残っていれば付着した愛液からDNA鑑定が出来るのだが。

 俺はスタッフルームで防犯カメラを見せてもらった。店員はソバージュヘアのオバサンだった。

 倶利伽羅と一緒に入店したのは背の高い女だった。

 入店時間は7月7日の午後9時だ。午後11時に1人でホテルを出ている。

 

 食堂で月見うどんを啜ってると鑑識課の知念恒夫ちねんつねおがやって来た。どことなく佐々木蔵之介に似ているな?

「倶利伽羅の死亡推定時刻は午後10時です」

「女に倶利伽羅を殺すことは不可能か」

 刑事課長の天童俊樹てんどうとしきは嘆いた。

「謎は深まるばかりですな?」

「安藤、マルボウの長崎さんと組んで闇金を調べてくれ」

 風間トオルに瓜二つの天童が言った。

 俺は食器を片付けて食堂を出た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る