第19話 未来コネクション★

 チャイムの音が響いた。

 席に座るアサヒを見守るように教室の隅で立ち尽くす私。執事らしい立ち振る舞いのために背筋を伸ばしている。

 教室に誰かが入ってきた。

 輝く翼。美しい水色の髪。印象に残る眼鏡。そして真面目で堅物そうな雰囲気。聖徒会の一人だった。

「こんにちは。私はウリエル。聖徒会では会計を担当しております」

 似合う。会計という役職が似合いすぎて笑ってしまいそうだ。けど、堪える。

「また、教科教官も兼ねています。言語、数学、社会学、理科学、等を担当するのでご周知を。さて、早速ですけど授業を始めましょうか。今日は数学からです」

 いきなり授業が始まった。

 そして、内容も初めての授業に似合わない難しさで話が入ってこない。

 それは天使達も同じで困りかけている様子が見える。ただし、私の仕える天使以外は。

 流石だなー、と思いながら私は突如現れたモンスターと戦っていた。

 モンスターの名は「睡魔」。突如現れると否や、瞼を下ろそうとしてくる。私は負けじと重くなっていく瞼を閉じないように開きにいく。何もしなければ敵にやって瞼が閉じられてしまう。そうなれば私の負けだ。

 落ちてく瞼と耐える私。均衡した状態だ。

 睡魔は攻撃の手を弛めた。

 そこをチャンスとゆっくりと瞼を開く。

 私は油断していた。そこに睡魔の攻撃。私の瞼は閉じられた。私は睡魔に負けてしまったのだ。



 ──あれ?

 ──ここはどこだ?


 周りはタイルの地面。冷たい感触が残る。

 前方から溢れ出して行くおぞましい空気。寒気がする。


 目の前に七つの影が現れた。そこから悍ましい雰囲気が漏れていた。その雰囲気が霧となり、周りを白く包む。その霧が目の前の相手を黒いシルエットにさせていた。


 人型の悪魔。生えた角と片方のみ開いた口。不気味に笑う。

 黒い海に浮かぶ一つの巨大魚。存在自体が恐怖を与える厳つさと大きさがある。

 人間の倍ぐらいある身長と横幅。ガタイの良さが分かる。独特な武器を手に持って、地面に根を生やしたかのようにどっしりと構えている。

 巨大な開きかけの超巨大な門。大きすぎて見上げてしまいそうだ。その門の中にある鋭くきらりひかる鋭い眼。何かが睨んでいる。

 黒いシルエットとなった大きめな龍がとぐろをまく。大きな龍がとてつもない威厳を放っている。

 スライムのようなポムポムとした存在がいる。弱そうなのに、奥底に強いパワーを秘めているように感じる。

 そして、七つ目の影は──

 落ちる黒い羽。強烈なオーラ。鞘を手に持っている。

 最後の影が近づいてくる。

 近くの霧が晴れてきた。それと同時に影が消えていく。

 そこにいたのは黒い羽のルシファーだった。

 彼はどこか虚しい視線で私を見つめた。



 ガクンッ。

 頭が上から下へと強く振られる。それと同時に目が覚めた。

 寝てた……汗。

 冷や汗を書きながら前の方を見る。睡魔に負けていたことは、意外とバレていなかったようだ。

 そこで授業終わりのチャイムが鳴った。

 あれ? 服に羽が張り付いていた。

 その羽は私が動くと地面に落ちてった。

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