第11話 三原色☆
「やあ、アサヒ君と……ナルミちゃんだっけ? すまないね、俺の親友がちょっかいを出して。軽い挨拶みたいなもんさ。許してくれないか」
太陽を味方につける単細胞的な少年。そんな天使が現れた。そんな彼の名前はヨネヅ。いつもリーダー各としてみんなを引っ張ってきた先輩だ。
「ヨネヅ! アサヒさんやナルミと一緒に行動しようぜ。こいつらも五つ目の石を手に入れてるみたいだしさ」
「そうだな。名案だ。頼んでみるよ」
無礼な対応を取っても気にしない。それが当然のような。俺がナルミに求めていた完璧さは間違っていたのだろうか?
「アサヒ。良かったらさ、一緒に行かないか」
「はい。喜んで。それよりヨネヅさん。無礼な態度ですけど、いいんですか……」
「何言ってんだ。いいに決まってるだろ。礼儀とかルールとか何やらよりもさ、一緒に暮らす友だぜ、逆にルールに縛られている方が
俺が求めていたのは、逆に無礼になる行為?
完璧ってなんだろうか。俺は何を求めればいい?
「行こうぜ。立ち止まってる暇はないしな」
迷いのない眩い笑顔が輝かしい。俺はまるで迷路の中にいる。それに比べて、彼は一本道にいるのだろう。羨ましいと感じてしまう。
四人で分かれ道を抜け、再び一本道へと出た。ここからは館の裏を進む
暗闇の中、二つのライトが道を明るく照らす。より明るく照らしてくれる光が不安を取っ払ってくれる。
「助けてー!」
前方から声がする。
目を凝らす。
ノナミとハルだった。
しかし、何から逃げているのだろうか。
目を凝らした。
巨大な蛇が追ってきていた。
「逃げてぇー! 蛇が追っかけてきたー」
「なんでー!」
俺らも巻き添えとなり、必死に逃げた。
走り続けているといつの間にか蛇は見えなくなっていた。
一旦、その場に腰を下ろした。
地図を広げる。大きな館の位置から大体の場所を把握する。今いる場所は決められた道から外れた場所だ。
「逃げるのに必死で道からズレてしまったんだろうな。こりゃあまずいな」
息を荒々しく吐く六人。
疲れで真っ当な考えができなくなっていく。
そう言えば、ここにいる人間は、髪の毛が赤、青、緑で三原色だな。なんていうくだらないことを考えてしまっていた。はっと我に返り、息を張り詰めた。今は決められた道に戻るのが最優先だ。
「ねぇ、道から外れちゃったね」
そこに顔を出す一人の天使。
二つの少し薄めの光でもよく分かる。その天使がすごく大人可愛いことを。
ミディアムボブカットの髪が少し揺れる。艶やかな黒髪が大人っぽさを醸し出している。
急に現れたためゼンジは「誰だっ!?」と声を荒らげた。
「あたしはアスタロト。聖徒会で書記をやってるの。能力は「腕を蛇にする」能力」
彼女は能力の実演をした。本当に腕が蛇になった。つまり、追ってきていた蛇は彼女が出したものだろう。
「まさかここまで逃げるとは思わなくてさー。とりあえずさー、正規の道に戻ろうっか。着いてきて」
俺たちはアスタロトに連れられて道に戻った。
結構戻ったな。また上り坂を登らなければならない。
「さて、アスタロトからのプレゼントだよ。黒色の石である「土の石」だよ」
俺、ノナミ、ヨネヅに渡された三つ石。
これで残るは一つだ。
「ねぇ、三人は今石六つだよね?」
俺らは一斉に頷いた。
彼女は安堵を意味する頷きをした。
「良かった。さっきのペアは石三つしか持ってなかったからさ」
石を三つしか持ってない?
つまり、完遂できないっということだ。けれども、なぜクリアできないのに通り過ぎた石を置き去りにしてここまで来たのだろうか。謎は深まっていく。
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