推しと恋することはミラクルです

第21話

言葉の勘違いから生まれるすれちがいは

程良く終わらせることができた。

後はこれからどうなるか、だ。

とにかく蒼君の事務所は中々の大手であることが分かる。蒼君はそこで夢を叶えることができたんだ。

そして、認められたんだ。

蒼君に迷惑をかけちゃダメだ。

蒼君は私を気に入ってくれた。

そしてー・・・・。

恋をしてくれたんだ。

「ー結愛？」

「ふぁい！！」

我に返る。

気付けば、視線が下がっていた。

隣には蒼君がいた。

（そうだった。蒼君と寄り道してたんだ！）

帰り道に二人で会話して、そのとき蒼君が近くのクレープの店に興味を惹かれていた。

「折角だし食べる？」と聞いたら蒼君が頷いて。

そして今、丁度新作のクレープを味わっていたところだ。

「結愛がぼ～っとするから心配したよ」

「ご、ごめんね」

「全然謝ることじゃないから、いいよ」

（この会話・・・・・まさに恋人らしい！）

「憧れの恋っていいなあ・・・・・」

「憧れ？恋の？」

「あ。うん。好きな人とクレープを食べるのって憧れるんだよね」

「デザートを食べるだけじゃん」

「いっいや！違うの！そこが！」

蒼君の思いがけない言葉にぴくりと動く。

私の憧れの展開を何故か、蒼君に知ってもらいたくなった。

「好きな人と好きなものを食べるのってね。実際、勇気が必要なんだけどね！でもね！そこから二人が好きなものを分かり合えるとすっごく嬉しいんだよ！？」

「う、うーん。俺にはよく分からないかなあ。クレープが美味しいというのは理解できるけど・・・・・・」

蒼君の眉を寄せている顔にはっとした。

（私ったら熱く語りすぎちゃって！）

蒼君に詰めていったから、

我を忘れていたような気がする。

「結愛は少女漫画の恋に憧れてるってこと？」

「う、うん」

「・・・・・クレープを分け合うとかは？」

（かかか関節キスっていうヤツ！？）

お互いのクレープを交換して相手の味が残る、キスみたいなアレだ！

「え、えー。ど、どどどうしよ」

「声震えてるけど」

「す、する！」

蒼君にクレープを渡されて、

胸がどきんと跳ねる。

蒼君の顔はいつもの優しい笑顔。

（正し、調子は乗るなよ私！）

クレープのクリームに口を付けて、

苺と生地を口に入れた。

変に意識しすぎて胸がどきどきする。

「美味しい・・・・うん！」

「結愛。俺にも味見させて」

「はいっどーぞ」

蒼君の顔が私のクレープに近づく。

（目を開けれない・・・・・！）

口に果実をもごもご入れながら蒼君は頷いた。

ゆっくり目を開けて、息を着く。

なんとなく安堵に感じた。

「結愛のはチョコスプレー？」

「蒼君のクレープはいちごだね」

二人とも、スイーツが好きだから味が分かる。

ーなんかすごいなあー・・・・・

分かり合えるってこういうことかもしれない。