第15話

東京ドームのライブのチケットに当たった。

期末テストでは、英語が最もいい点を取れて、その褒美にチケットを買い、無事当選を果たした。


(待っててね!蒼君!)


私は布団をベッドに掛けて、寝転んだ。

枕元に置いたスマホからの着信音が鳴る。


「何だろ・・・・・」


スマホを確認すると、琴葉からのラインだった。

5件のメールが届いている。


『結愛!大変!』


『蒼君と陸君が一人のファンを取り合ってるって!』


(そういうことはよくあるよね・・・・)


『その人が 結愛 らしいよ!』


「・・・・・はい?」

訳が分からない。

私を取り合っているってそんな・・・・。

ただのデマと勘違いしているのではないか?


『音楽番組で言ってた!』


『蒼君が陸君に宣戦布告してた!』


琴葉のメールはここまでだった。

琴葉の言葉が頭の中でもやもやとする。


(本当、なの・・・・・?)


目を見開く。

何だか、何だか、違う気がする。

ただ、蒼君と結ばれたいのは本音だけど、

そういうことは望んでいない。

見てるだけで良かったのに。


ということは、陸君も私のことを好きになったのだろうか。


二人とも、私に恋をして、

私を賭けて、取り合っている。

急の展開に、胸がドキドキする。


まさに、あまり嬉しくない恋だ。


「だ、大丈夫かな・・・・・」


平凡で幸せな日常が崩れていく。


二人の好感が私に向けられて。















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