第11話

「あ、蒼君・・・・・・」

「結愛」


(だめっ!もう嬉しすぎて死にそう!!)


こういうやり取りは推しとファンがあまりやることではない。

けれども、蒼君はファンの私の名前を呼んでくれた。

夢を見ているようで夢を見ていない。


かあっと赤くなる私に、蒼君は照れたように輝いた笑顔を見せた。

二人で頬を紅く染めて。

お互い、直視できなくて。


「じゃ、じゃあ私。帰るね・・・・」

「あ、ああ。じゃあな」


嬉しかった。

とても嬉しくて、目頭が熱くなった。


(私は本当に蒼君に恋してるんだな・・・・・・)


自分はただのリアコだって思っていたけど、今のままじゃ私はファンじゃなくて、蒼君の友達な感じがする。

悪くは思わない。が、心が痛くて、辛くなった。

胃袋が締められるように。


(不安なのは同志ファンの人達にどう思われるかなんだよね)


学校にも蒼君のファン達が蒼君の周りに集っていて、

私が蒼君に話しかけると、すぐに蒼君をガードすることがある。


(これからはもう何か不安しかない!)

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