第二章 推しとのスクールライフ!
第7話
推しが転校してきた。
それは私にとって運命の出会いのようなものだった。
夢みたい。
まさか蒼君に気に入られるなんて。
「結愛ー!ご飯できたよー」
「はーい!」
1階の母からの掛け声だった。
階段から降りてくると、カレーの匂いが鼻に感じる。
今日はカレーライスのようだ。
部屋着姿のまま、キッチンへ向かうとカレーを皿に盛っていた母が目を見開いた。
「結愛ったらまた、小さいトレーナーを着ちゃって」
「だってこっちの方が好きなんだもん」
「はぁ、他のヤツも着てほしいのにね。ママは困ってるんだから」
「分かったよ!」
私は下が熱い所を手で持って、カレーライスを運んだ。
「こら結愛。食事中にスマホを触らない」
「はーい」
私はスマホをいじくって蒼君の最新のツイートを眺めていた。
特に変わった変化も無かったので、母に注意されるまま、スマホをテーブルの端に置いた。
「あ。そーだ、ママ!今日ねすっごい嬉しかったことがあったんだよ!」
「何があったの?」
私は興奮しながら口から箸を抜く。
「今日ね!蒼君が転校してきたんだよ」
母は目を丸くして言った。
「蒼君が結愛の学校に転校してきたの!?」
自分の娘が応援している有名人が娘の学校に転校した。
これを聞けば、流石に鈍感な母でさえもびっくりするのだ。
「それは良かったね・・・・」
「うん!」
いつもの当たり前な幸せより、やっぱり推しが転校してきた方が 一番嬉しい。
(それに蒼君に気に入られちゃったしね!)
今日は眠れなさそうだ。
妄想のしすぎのオチだろうな。
「そうだ結愛?」
「ん?」
「もうすぐでお弁当の日でしょう?蒼君にお弁当作ってあげたら?」
「ええええっっ!?」
それはレベルが高すぎる。
突然、蒼君に手作りのお弁当を差し上げたら間違いなく嫌われる。
そして隣にいる私がもっと気まずくなる。
「ママ~!それはハードルが高すぎるよ!」
私は即行に告げる。
「大丈夫。こっそり蒼君の机の中に隠せば大丈夫!」
(本当に大丈夫かな・・・・・)
上手くいかない未来しか想像がつかない。
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