第5話
驚愕のSHRが終わり、クラスは5分休みに突入する。
既にクラスの中心人物となった蒼君に皆、好奇心を沸かせている。
蒼君の隣の席に座る私は色々と大変だ。
女子からは胸を突き刺すような視線で攻撃される。
ー何で夢野さんなんだろうー
ー一人だけ調子に乗っちゃって!ー
ーホント、ジャマー
授業中に声にならないような声でそう私に愚痴を叩いてきた。怖くて、女子のファン達から必死に逃げようとしても言葉が脳裏に焼き付く。
誹謗中傷を受けて、これからが不安になってくる。
(あ、そういえば蒼君、学校案内されてなかったな)
「み、宮崎君。せっかくだし、学校案内するよ」
蒼君は振り返った。
「ああ。よろしく」
「・・・・・で此処が音楽室ね」
私は蒼君と学校を回っていた。
いくつかの教室の情報は大体のことは知ってるから、蒼君からの繊細な質問にも答えられた。
「ふー。疲れたね」
私たちは廊下に立ち止まった。
蒼君もそうだなとブレザーコートの襟をつかんでぱたぱたさせた。
(かっこいい!)
私が蒼君に食いつくように真剣に見つめていると蒼君がこっちに気が付いた。
「夢野さんが隣で安心したよ」
「え」
蒼君からの優しい眼差しと笑顔に胸がドキッとする。
私にとってはまるでファンサのようなものだった。
「俺、夢野さんのこと。気に入ったよ」
頬が熱くなる。
この胸の高鳴りはもう抑えられなかった。
(推しが私を気に入ってくれた・・・・・!)
これまで、生きてきた中で史上最高の喜びだった。
(ああもう、泣きそう!)
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