第4話
衝撃だった。
頭にバットで殴られる程、痛い言葉だった。
(・・・・・・だけど)
蒼君がファンの人たちに囲まれたら、仕事が進まないのだ。
サインや握手などは同校の生徒がいろいろと付け回してくる。
そうなれば、蒼君にストレスが溜まってしまい、不登校状態になってしまう。
(蒼君はホント大変だろうな・・・・・)
自己紹介を綺麗に終わらせた蒼君に先生が話しかけた。
先生も聞いてびっくりしたようで、少々、焦りながら言った。
「み、宮崎さんは 夢野さん の隣の席に座ってもらいますね。」
(・・・・・・・え!!)
私の・・・・・隣の席に蒼君が・・・・・!?
皆からの視線が辛いが、推しが自分の隣の席に座るのだ。
夢のような展開だ。
蒼君が鞄を持ちながらこちらの方へ向かってくる。
(うわああああああ!!蒼君がぁっっ!かっこいいいい!!)
頬が熱くなる。
蒼君が私の隣の席に座る。
そしてこっちを振り向く。
(何、何、何ぃーっっ!!)
蒼君は私に向けて優しい笑顔を向けた。
「よろしく。夢野さん」
蒼君は神だ。
それに念願の 苗字呼び だ。
ちゃんと さん もついている。
「よろしくね。宮崎君!」
学校ではちゃんと苗字で呼ぶ方が良い。
そうした方が馴れ馴れしいことは無い。
それでもファンとして明るい声でしゃべった方が相手の気持ちも楽になる。
あの笑顔はあの冷たい言葉に全く合わない。
私はチラチラと蒼君に視線を送った。
カラスの羽の色をした黒色の整った髪。
ツリっとしたつぶらな瞳。
成人男性のような体格。
私はあまりにも気まずい雰囲気だったので蒼君に話しかけた。
「宮崎君。緊張してるの?」
少し、ニヤリとして言う。
どこかからの女子達のシビアな視線に胸が痛くなりそうだ。
「・・・・・!」
蒼君は動揺した様子だ。
(あれ・・・・・?もしかして本当に緊張してるの?)
何故かその後、喋りづらくなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます