第50話 夕飯と就寝。そして一波乱。

「あぁ〜緊張したなぁ〜。」

「お疲れ様でした。ですが、やはり学園長というだけあって、かなり厄介そうな相手でしたね………。でもまぁ、怖くはなかったですね。」

「確かに威厳っていうより、ほんわかって言うか……何かゆるかったですね……空気が…。」


最後奥の部屋に入って行ったけど、あれって本当になんだったんだろ?思い出って言っても、ブツブツ言ってた事は何も聞こえなかったし、それにただ眠たかっただけって可能性もあるんじゃないかと僕は思う。


「デコル様。ご夕食はどういたしますか?」

「部屋で食べたい………。」

「では私が二人分持ってきますね。何か食べてはいけないものとかあります?ほら、クイーゴ症候群とか……。」

「特にないですよ?あ、でもエィビーはダメです…。」

「かしこまりました。では、取りに行ってまいります。」

「うん。気をつけてね。ありがとう!」



*エィビー   エビとシャコを足して二で割ったような味がします。

_________________バタン。


「ふぅ。流石に私もあんな密室にデコル様と二人きりで閉じこもってしまうと、タガが外れてしまいます。それだけは回避しないといけませんね…。」

私は従者。あの方は主人。求めるのではなく、求められなければいけない。でなければ主従関係は成り立たない。元々私の出身のせいか、上の立場に立つ事が多かった。でも、。実は詳しくは覚えてない。けれど……。


ノイズが走る。


_____お前に_________これで我々は_______ハッハッハッハッハ!______この愚か者がぁ!!_____________なぜお前に………このクソアマがァ!!_________ククク………無様な姿だなぁ!ハハハハハ!これでお前も"呪具の坊"よ!ハハハハハハハ!_________






「この方にしてもいいですか?兄さん。」


あ……。



「ふふっ。少し……物思いにふけってしまいました……。早く夕飯をお持ちしなければ……。まぁ私が作っても良いのですけど………。」


「おい……あのメイドさん誰だよ……⁉︎めちゃくちゃスタイル良いじゃねえか!どっかで見た事あるような気がするんだけど……。」

「マジで知らねえ!しかも男子寮だぞ!って事はあの新入生の⁉︎」

「って事はもう新入生に先越されてるんじゃ……。」



チッ。うるさいですね………。これだから男というのは……。それに比べ、デコル様は男としての部分を恥じて、隠していらっしゃいます。見習ってほしいものですよ……。


「おい、エルブラスト。久しぶりだな。」


「は?誰ですかあなた。」


声をかけてきたのは……はぁ……この方でしたか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る