第51話 隣国の貴族

「あぁ?この俺様の事を忘れたのかよ?はぁ〜………マジでお前は無能だったって事か…ハッ!いい気味だな!あのグリード家の元ご令嬢様!」


チッ。こいつ……周りに……。


「グリード家ってあの…⁉︎」「だったらヤバくないか…⁉︎でも、何でメイド服…?まさか……奴隷堕ち…?でも何で……。」「デコルってやつじゃないか……?何か関係してるんじゃ……。」


「それで?何のようですか?」

「おいおい!何の用って元婚約者様が居たんだ!声だってかけるだろう!ハハハッ!」


こいつの名はハレン・バレント。隣国の公爵家の次男。恐らくだが、向こうの国の差し金だろう。こいつ……ではなく護衛に紛れたスパイでもいるんだろう。


…………後ろに付いているのは三人……。ふぅん…こいつか。


「そうですか。では。」

「おい待てよ!」


腕を掴まれそうになる。

だが今身に纏っているのはコンポース家のメイド服。恥をかくわけにはいかない。


「触るな。」


魔力を圧縮し、クッションにして触れないようにする。


「⁉︎お前……あの時に消されたはずじゃ……いや、前よりももっと上がってやがる⁉︎どういう事だよ…⁉︎………隠蔽魔法じゃないのか……⁉︎まさかあの呪いを…⁉︎」

「はぁ…。どうやら何か知っていたんですね。まぁそうでしょう。一部の高位の貴族なら知っていると思いますからね。」

「誰だ……それを外したのは………誰だよ……⁉︎そんな……化け物みたいな奴は……⁉︎」


「は?化け物?デコル様を?」


……こいつ……絶対に許しません。


「………………デストラ』。」


少しは優秀だと思っていたのですが、私の思い違いだったようです。


「グフッ……。ゴッ……アガッ……ウグッ……。」

「坊っちゃま⁉︎」


「邪魔しないでください。」


早く夕飯をお持ちしなければ。

___________________________________



「デコル様。夕飯をお持ちしました。どれも美味しそうでしたよ。」

「ありがと!今開けるね!」

「すいません。」

「いいよ!両手が塞がってるんだし。」


癒される。この尊顔……心が綺麗になりますね。


「う〜〜ん………ねぇ。エルさん。聞きたい事があるんだけど。」

「はい?」

「明日から学校だけど……大丈夫かな……クラスに馴染めるかな……?」


このうるうるとした目……さらに上目使い…………。


「大丈夫だと思います。デコル様、その若さで極点に至っているんです。大丈夫です。きっと。」


あっ、やばい。自分の自制が出来る間に会話は終わらせないと。


「……。うん。頑張ってみるよ……。じゃあいただこうか。」

「あ、はい。」



その日の夕飯は全く覚えてない。ずっとデコル様を見ていました。



_______________就寝前。


「うぅ……やっぱり怖い……。」


ゴフッ!

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