第49話 学園長

「改めて、ボクの名前はクロス。クロス・フィロートーク。クロスってのは、『の道』って言うらしいよ〜。これからよろしくねぇ……ふぁあああ。」

「よ、よろしくお願いします!」

「こう見えてももう200は超えてるからなぁ〜…?敬意は払ってね〜?」

に、200………。一体どんな人生を送ってきたんだろう……。確かに200年も生きていれば退屈になるかもしれない。


「わ、わかってます!」

「あぁそうそう。君の事情も大抵しってるから安心してね。あと、ボクもから。安心してね。バラす事はないよ。」

「も、持ってる…?ですか…?」

あぁもう!どうしてもどもってしまう(*)!


*どもる……声が滑らかに出なかったり、同じ音を何度も繰り返す。


「あぁ、惚けないでもいいよ。全部わかってる。君の事情もその後ろの子の事情も。ただ……君の後ろにいる……エルくん……だっけ?ちょっと異質だねぇ……。君、簡単な話じゃないでしょ?ボクが……いや、君もそうか。ボクらが思ってるよりもっと複雑な話だよ。」

「……どういう事ですか?」

「ボクも詳しくは言えない。けど、わかってるのは後々、君の元に帰ってくるよ。不幸が。気に留めておいて。」

「…………善処します。」

「そうして〜。あ、そうそう。君、かなりどもってるけど、病気とかじゃないよね?ただの人見知りだよね?君のお姉さんから色々聞いてるんだけど。」


うぐっ…痛いところをつかれてしまった。


「はい……そうでしゅ…//。」

恥ずかしい。


「君今最後しゅって言った?」

「うぇ?本当に?あっ…ごめんなさい……。」


あ、もうだめだ。死にたい。


「……君……似……てる……。」

「え?」

「あれに………彼に……あぁ…だめだね……本当。引きずっちゃってる。ごめんね。今日はちょっともう………だめみたいだ。明日の日程はこのプリントに書いてるから。分からないとこがあれば大抵自分の判断でいいよ。それじゃ。」


一気に話された後、僕たちは部屋から出された。

バタン!


「何があったんだろう?」

「思い出かもしれませんね。デコル様に似ていた人がいたのかもしれませんね。」

そっか。200年も生きていると、似ている子もいるだろうし。


「じゃあ、今日はもう、特にする事もありませんし、分解でもしてあそんでいますか?」

「うん。もう部屋から出たくない。」


この後、僕は知る事になる。ここで探索でもしていればどれほど良かっただろう、と。


______________________________________


「あぁ……くふっ……あふっ………ふふふっ………なんで……なんでこんな………はははっ♡ボクの能力、これだけあって無駄じゃなかったね…。要らないと思ってたけど……今は嬉しいや…。楽しみだなぁ……珍しく。くふっ♡」

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