第23話 初任務前日のお話

「デコル、すまないな。どうしてもこれだけは変更できなかった。できる事なら変わってやりたいが………。」


「いえ、良いんです。それだけ僕に頼るくらい危ないのか、僕がいた方が良いんでしょう?なら受け止めますよ。僕だって遊撃隊の一人です。もう少し頼りにして貰っても構いませんよ?」


「………ありがとう。俺は今少々面倒な事になってな。暫く軟禁されていると思う。それが終わればお前も、あまり危険な事に首を突っ込まなくてもよくなる。それまで、待っていてくれ。」


「あまり無理はしないでくださいね。健康が一番大切ですから!」


「あぁ。じゃあ、俺はもうそろそろ行くよ。頑張ってくれ。無理はするな。」


「はい!」


僕誘拐騒動があったあと、何事もなく?とは言いにくいけれど、僕は遊撃隊に馴染んでいった。無理をして訓練する事もなかったので、変に生活が乱れる事もなかった。でも、体力作りは滅茶苦茶キツかったです………。死ぬかと思った事はないけど、それでも十分「あ、やばい」って思った事もなんどもありました。けど、そんな僕もとうとう明日、明日の夜に。


初任務なのです!それもかなり重要な話!


「やっぱり不安だなぁ………。」


「大丈……夫。私が………ついてる……。君が……背負いこまなくても……いい。」


ギュムッ。


あぁ、この感触は………姉様にいつもしてもらってるから分かる。顔が熱くなってくる。お姉様は慣れたけど、さすがにシャルルさんは………!頭がボーっとしてくる。あれ?おかしいな?いつもはそんな事ないと思うんだけど………。お……落ち着け!僕。大丈夫。僕はスケベじゃ無い……と思いたい。


「あ、あ、あ、あ、あの!背中……が…その……。」


「……フフ。ギュッ。」


「ヘッあっ…。」


あぁぁぁぁぁ!煩悩よどこかへ行け煩悩よどこかへ行け……………。


ギュムッ。


「ッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!////はふぁあぁ〜?」


か……勝てないッ!この人には………勝てない!僕はもう本能的に悟ってしまった。


「君が初めての任務で緊張してるのも分かる。その事についてはよくわかる。私もそうだった…。けど、もう克服できた。次は君の番。一緒にがんばろ?ね?」


「あ……。はい!」


遊撃隊の人たちはなんで皆優しいんだろう?優しさが良く身に染みる……。


そんな風に励まされたりしながら。とうとう夜を迎えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る