作戦その五 皆を独り立ちさせる

もう婚約破棄は諦めましょう。その代わり、居候の皆さんがここを出て生活ができるように、独り立ちの支援します。


そうすればフィリップと私はただの平凡な結婚するだけです。当初の予定通りになるので、何も問題はありません。逆転の発想ですわ。


結婚まで一ヶ月もないですが、やれるだけやってみましょう!


まずは、この街や我が家の領地で働ける所がないか調べてみましょうか。その後、皆の希望を聞いて少しずつ外の仕事をしてもらいましょう。




今日は五人を我が家に呼び出しました。フィリップのいるところでは聞きにくいですからね。


「今日は呼び出してしまってごめんなさいね。もう少し皆のことを知りたいと思って……。突然だけれど、皆の将来の夢を聞かせてくれない?」



「夢ですか?そうですねぇ、お花屋さんで働いてみたかったです」


アーニャは花屋か……可愛らしい夢ね。確かうちの領地の花屋が店員を募集していたわ。



「夢というほどではないですが……私達は刺繍が好きなので、これからも続けたいと思います」

「私達の国では、刺繍が有名でしたから」


なるほど。イザベルとウェンディの国の刺繍は、こちらの国でも人気がありますものね。わざわざ刺繍を頼みに行っている貴族もいるくらいですし。



「私は夢なんて思いつきませんわ。得意なことなんてありませんし……」


「エミリー、あなたはお茶を淹れるのが上手いわよね。茶葉専門店で腕を磨くというのはどうかしら?きっと楽しいと思うわ」


エミリーは自信がないようだけれど、子爵令嬢なだけあって振る舞いが上品ですし、向いていると思うのですが。


「茶葉……少し興味があります」


良かった、興味を持ってくれたようね。



「私、アクセサリーのお店を開きたいのです」


オリヴィアは前にもやりたいことがあるって言っていたものね。アクセサリーのお店か……。




「ねえ皆、私がその夢のお手伝いをするわ。この領地の働き口を紹介しようと思うの。アーニャには花屋、イザベルとウェンディには洋服店、エミリーにはさっき言った茶葉専門店を。そしてオリヴィアには融資と土地の提供をしようと思うわ。受けてくれるかしら?」


さて皆、働いてくれるかしら?

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