作戦その四 愛の告白をする?
リタの助言通り、フィリップに愛の告白をしようと思います。
私のお願いなんかで側室を置くのを止めるとは思いませんが、物は試しです。
でもなんと伝えたら良いのでしょう。リタが言っていた台詞は少し無理がある気がします。
「フィリップ、側室なんて置かないで、私だけを愛してください!」
なんて言うような関係ではないですものね。
大体、愛してるなんてお互い言ったことがありません。婚約が決まった時も、よろしくと言い合っただけでした。今更愛してるなんて言っても、嘘っぽく聞こえてしまいます。
うーん……真実に聞こえるような言い回しが良いのですが。
「私というものがありながら、側室を置くなんて……嫉妬してしまいます」
とか?これも少し違いますね。
「二人きりで過ごせると思っておりましたのに。側室だなんて、私だけでは不足ですか?」
これは少し惜しいですね。二人だけで過ごしたいのは事実ですが、後半は言う勇気がありません。
「側室が五人もいる方の正室なんて、少々荷が重いですわ。私はフィリップと二人で暮らしたいのです」
これなら事実ですし、少し良い雰囲気な台詞になりました。これで行きましょう。
フィリップに会いに行って、早速伝えてみましょうか。
「こんにちは、フィリップ。今日は少しだけ二人きりで話したいのだけれど、良いかしら?」
「勿論だとも。皆には別室で過ごしてもらおう」
よし、言ってやりましょう!
「あのフィリップ、側室のことなんですけど……」
「あぁ、そのことか。最近皆のことをよく気にかけてくれているようだね。本当に助かっているよ。ありがとう」
「あ、えぇ……」
どうしましょう。言いづらくなってしまいました。
「そう言えば昨日も、アーニャが君のようになりたいって言っていたなぁ。君のことを姉のように慕っているようだ」
「そ、そうなの。嬉しいわ……」
あぁ、口が勝手に相槌を打ってしまいます。
「それで話って?彼女達がどうかした?」
「えーと……側室が五人もいるとなると、私には荷が重いような気がしてしまって……」
せっかく台詞を考えてきたのに、全然うまく言えませんでした。
でも、一応気持ちは伝えられました!フィリップは何て答えるのかしら。
「そんな風に思っていたのか。ニーナ、君は自信を失ってしまったんだね。でも大丈夫、僕も彼女達も君にだけ負担をかけさせるつもりはないよ。皆で協力していこうね」
「えーっと、……はい」
なんだか斜め上の解釈をされた気がします。
気遣いの方向性が思ったのとは違いますが、心配してくれているのは分かります。
こんな優しいフィリップと婚約破棄したいだなんて、やっぱり私が間違っているのでしょうか……
こうなったら、最後の手段です。
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