休憩も大切
作戦はことごとく失敗に終わっています。どうにかして婚約を破棄する方法はないものでしょうか……
「もう諦めて結婚しちゃえば?」
私の親友リタは、そう言って笑いました。
「冗談じゃないわよ、私は平凡な伯爵夫人になりたかったの。側室が五人もいる伯爵家を管理するなんて無理よ!」
「まあ私も絶対嫌だけどね」
フィリップが側室を置くことに対して、私と同じ意見を持っていたのはリタだけでした。
両親に理解してもらえなくても、リタがいたから、今日までめげずに作戦を遂行できたのです。
今のところ全て失敗していますが。
「街中の人たちは、フィリップ様のすることは全て素晴らしいって思っているからね。王様だって、止めないんじゃないかな?むしろ支援するかも……なんてね」
「やめてよ。そうなりそうで怖いわ」
そうです、王様だって止めないでしょうね。伯爵が側室を五人も置くなんて、この国では前代未聞ですが、フィリップなら許されてしまうでしょう。
「正直に言ってみたら?フィリップ、側室なんて置かないで、私だけを愛してください!って」
「そんなセリフ絶対言いたくないわよ」
「えー?ニーナはフィリップ様のこと好きだったじゃない。婚約が決まった時は、あんなに喜んでいたのに」
フィリップと婚約が決まった時、嬉しかったです。フィリップは優しい方ですもの。政略結婚とはいえ、こんな方と結婚出来るなんて幸せだと思っていました。でも……
「好きとは違うわ。彼のことは素敵だと思っていたけれど、それは貴族として好ましいってだけ。そもそも恋愛なんて興味ないわ」
「そっかー、愛の告白でいけると思ったんだけどなー。一応ニーナは正室になるのだし、お願いされたら案外サクッと聞いてくれるかもよ?」
そうでしょうか。あまり気は進みませんが、やってみようかしら。愛の告白。
「じゃあ、やってみるわ!」
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