第516話 クールタイム
リゲルに乗って屋敷へと。
ルピ、レダ、ロイに加えてシャルたちケット・シーも一緒にゆっくりと歩いてきたんだけど、なんかコメント欄で「行軍」とか「妖精王の凱旋」とか盛り上がってるし……
「リゲル、行ける?」
「ブルルン!」
俺を乗せたまま、裏庭を囲う生垣を軽く飛び越えるリゲル。
ルピたちもしっかりとジャンプしてついてきてくれる。
『すごいです!』
【ボリオン】「おおお、かっけ〜!」
【クショー】「いいなあ。俺も乗馬取ろうかな」
【ギガノト】「砂浜を走って欲しい!」
【ブルーシャ】「<ナイスジャンプ!:1,000円>」
etcetc...
リゲルを降りると、シャルがスッと近づいてきて馬具を外してくれた。
あとは任せて、俺はご飯の用意をするか。
「じゃ、ちょっとご飯の用意するんで、先に質問を出しておいてもらえると」
『はい!』
今日の料理はオーダプラ(じゃがいも)とボア肉のキュミノン炒め、グレイディア肉を香辛料に漬け込んでから焼くファヒータ、パーピジョンの唐揚げとガッツリ飯。
スウィーとラズたちには、キュミノンとオーカーナッツのクッキーをたくさん。リゲル用にサラダもたくさん用意した。
パーンたちが立食用のテーブルを用意してくれ、ギリー・ドゥーたちがお皿を用意してくれる間に、俺は炒め物とファヒータを仕上げる。
下処理は済んでるので、あとは焼くだけなんだけど、量が量だけに結構大変。
「よし、これお願い」
「ニャ!」
出来上がったものをよそって、シャルたちに渡し、また次のを。
STR上がってるし、もっと大きなフライパン、いや、中華鍋とか作ろうかな?
「っと、こっちもか」
唐揚げも簡単に揚げられるようにしたいなあ。
ミオンが視聴者さんとあれこれやりとりしてもらってる間に、料理を仕上げて配膳してもらう。
「〜〜〜?」
「あー、うん、お願い」
スウィーが白竜姫様を呼んでいいか聞いてきたので、もちろんオッケーを。エルさんと一緒に紹介することにしよう。
『ショウ君、そろそろですか?』
「うん。今、スウィーが白竜姫様を呼びに行ったから、ちょっと待ってね」
【セイキ】「白竜姫様来てるんだ!」
【ガフガフ】「うおおおお!」
【デイトロン】「<白竜姫様歓迎!:10,000円>」
【シェケナ】「優しい時間だ〜ヽ(´▽`)/」
etcetc...
ライブのことは2人には話してないし、説明のしようがないんだよな。
なんで、ふとした会話でミオンが島にいることがバレる可能性もあるんだけど、その時はミオンに島に来てもらって、ライブを続けるつもりでいる。
どうやってこの島に来たのかは……笑ってごまかすしかないかなってことで。
「ごは〜ん!」
『あ、アルテナちゃんですよ』
「おっと」
駆けてくる白竜姫様の後ろにはエルさんがいて、
【マリオネラ】「お付きの人?」
【コーヨー】「え? あのかっこいい人、誰?」
【カルローネ】「有翼人?」
etcetc...
まあ、そういう反応になるよな。
ミオンからエルさんの紹介が入って、いろいろと納得してもらえたようだけど、
【アシリーフ】「女性なのはいいの!?」
【メッセレン】「ミオンちゃん的にオーケーなの?」
【ディション】「姫様一人だけってわけにもいかないか……」
etcetc...
『大丈夫ですよ』
と答えると、
【ノーチラス】「アッハイ……」
【シェケナ】「ショウ君、ガンバ♪」
【メッセレン】「ずっと見てるから大丈夫だよね〜(´∀`*)」
etcetc...
……みんな納得してくれた模様。
「〜〜〜♪」
「はいはい。じゃ、みんな揃ったし」
『はい!』
「いただきます」
………
……
…
白竜姫様のお世話、主におかわりはエルさんが対応してくれてるのでお任せ。
スウィーとフェアリーズもそっちにいるし、パーンやシャルたちも美味しそうに食べてくれている。
『今日はキュミノンを使ったお料理が多かったですね』
「だね。前のライブで取れてからハマってる感じ」
アトたちに渡した種も無事栽培に成功したので、これからはカレー味も作れるようになりそう。
あとはやっぱり米だよなあ……
「ブルル♪」
「はいはい」
リゲルが催促するので、インベントリからレッドマルス(りんご)を渡す。ルピたちにはパーピジョンのささみジャーキーを。
『ショウ君。そろそろ質問いいですか?』
「うん、お願い」
『では、最初の質問です。北端の古代遺跡の塔の調査はいつ頃ですか?』
「あー、夏休み中にって思ってたんだけど、見えるところまで行ければいいかなって」
リゲルが来てくれたおかげで、安全な場所の移動は早くなったことを話す。
ルピ、レダ、ロイあたりにメンバーを絞れば、かなり先まで行けそうだなって思ってるけど。
【マーシー】「焦る必要はないよ〜。まったりやろ〜」
【デンガナー】「リゲル君、さっそく活躍やね!」
【ナーパーム】「洞窟からはダメなんだっけ」
【リーパ】「戦力的にはどうなん?」
etcetc...
ああ、それと、
「転移魔法を使えるようになったんで、ギリギリまで先へ進めるんで」
コメント欄もまったりムードだったのが、一気に沸き上がる。
『ショウ君。転移の魔法の解説をお願いします』
「うん。えっと、空間魔法、重力魔法、結界魔法の3つのスキルレベルが7になると使えるんだけど……ってこの話は知ってました?」
【ドンデン】「いやいやいや、知らんって!w」
【デイトロン】「<情報提供料:5,000円>」
【ワヌフェ】「レアスキル3つ、しかもスキルレベル7……」
【ディーエス】「魔導書に載ってたの?」
etcetc...
「えっと、魔導書には載ってなかったんですけど、あることはアズールさんから聞いてはいて。それで召喚魔法が使えるようになって、改めて確認したらって感じです」
そう説明すると、あれやこれやと推測が飛び交ってたりして、またさらに質問が増えたりと大変なことに。
あ、そうだ。あのことだけはちゃんと伝えておかないと。
「えっと、転移の魔法についての残念なお知らせが一つ。クールタイムが6時間あります。何か短縮する方法があるのかもですけど」
うん、コメント欄が一気に冷えた……
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