第509話 白身魚のフリッター、クミン塩を添えて

「あ、そうだ。ちょっと気になったことがあって、俺から皆さんに質問していいですか?」


『あ、はい。なんでしょうか?』


「木彫りのルピを送ったんだけど、もう届いてたりします?」


 輸送中に何かあったら連絡が来てるだろうし、あとはちゃんと受け取れてるかなって心配だったんだけど、


【ナンツウ】「届いてる!」

【モルト】「飾られてるぞい!」

【ビートト】「もう少し増産してほしいですけど……」

【フェル】「ご利益ありそうだから拝んできたw」

 etcetc...


 コメント欄を見ていると、どうやら水晶原石を納品してくれたギルドが、神社っぽいものを建てて祀ってくれてるんだとか。

 ルピもとうとうミオンと同じに……、いや、もともと蒼空の女神の従者だから、不思議でもないのかな?


「良かったな、ルピ」


「ワフ〜♪」


 飛びついてくれるルピをモフる。

 その内容がわかっているのか、スウィーが飛んできて、


「〜〜〜?」


 うん、次はスウィーの番かな。


【ブルーシャ】「は〜、かわよ〜(´∀`*)」

【シェケナ】「次はやっぱりスウィー様?」

【クショー】「今度はお金でってなると、やべー額が動きそうな予感……」

【フリテー】「死霊都市のミオンちゃんの隣に置かない?」

 etcetc...


「次はスウィーで、その次がトゥルーかな? で、パーン、シャル、クロたち三姉妹もいるし、レダとロイも作ってあげたいしで、ゆっくりやっていきます」


『雨の日とかですね』


「そそ。まあ、北側の探索が終わっちゃえば、ゆっくりのんびりできるかなって」


 ただ、問題は北端の塔(?)が一筋縄じゃ行かないだろうなってあたり。

 最悪、こっちに悪影響が出ないなら放置でもいいかもだけど。


『ショウ君。そろそろ時間なので、最後にお知らせを』


「あー、うん。アージェンタさんからお願いされて、白竜姫様がしばらく滞在することになりそうで」


【ロッサン】「うおおおお〜!」

【シェケナ】「キタワー♪───O(≧∇≦)O────♪」

【デイトロン】「<白竜姫様滞在費!:10,000円>」

【アマツノユ】「いいよいいよー(*'-'*)」

 etcetc...


 やっぱりというか、コメント欄がすごい勢いで見えなくなってしまった。

 うちの島に来ちゃうことで、本土の人たちから羨ましがられるだろうなあと思ってたんだけどなあ……


『ショウ君が作るお料理が体にいいという話ですよね』


「まあ、そうなんだけど、それはスウィーのおかげかな?」


「〜〜〜♪」


 腕組みドヤ顔でふんぞりかえるスウィーだけど、コメント欄は投げ銭がすごいことになってるし……


「じゃ、そろそろかな。あ、ミオンの収録は順調なんで」


『は、はぃ。ショウ君がずっとついてくれてますから……』


【ウタゲテー】「壁持ってこーい!」

【マシュロ】「砂糖だばー」

【ブルーシャ】「アルバムも楽しみ〜♪(*≧∀≦*)」

【デイトロン】「<収録付き添い代♪:10,000円>」

 etcetc...


 うん、本当にそろそろ終わりにしよう……


 ………

 ……

 …


<終わりましたよー>


「『お疲れ様でした』」


 今日は場所が場所なので、歌は無しで終了。

 キュミノンシードは手に入れたので、持って帰ってクロたちに栽培をお願いするかな。


「じゃ、港まで戻るよ」


『はい。気をつけてくださいね』


「りょ」


 みんなに声をかけて撤収開始。

 ルピたちに警戒してもらいつつ、ダブガビアルがいたあたりからは距離を置いて、小型魔導艇へと向かう。


<そういえばー、お金を確保するというお話をしてましたがー、具体的にどう使うんでしょー>


「えーっと、島の探索が終わったら、手に入らないものもわかるんで、その時にお金で解決しようかなと思ってます」


<なるほどですー>


 食材もそうだし、鉱石も島で取れないものは欲しいかな?

 あとは魔導具がすっごい高いらしいので。アージェンタさんからもらってばっかりもなんだし。


『種や苗木を買うのもいいですね』


「だね。この島で育つかどうかも試したいし」


 レッドマルス(りんご)はみんな好きな果物だし、メロンとかあったりすると嬉しいんだけどなあ。


「ワフ」


「よし。みんな乗って」


 無事、小型魔導艇のところまで戻ってきた。

 大丈夫だと思ってたけど、ちゃんと船があってホッとする。


「ニャ」「キュ〜」「「「キュキュ!」」」


 全員乗ったところで、改めて確認。

 スウィーとラズはフードにいるな。


「じゃ、戻るから、ミオンは港で待っててくれる?」


『はい』


 戻って改めて、みんなでご飯かな?

 キュミノンシードたくさん拾ってきたし、少し使ってみよう。


 ………

 ……

 …


<ビールに合いそうな料理ですねー>


「あはは……」


 普通に白身魚をからっとあげて、焼いたキュミノンシードと塩とぱらっとかけたフリッターを。

 やっぱり香辛料があると、料理もバリエーションがすごく増えて嬉しい。


「こんな料理法があったんですね」


「素揚げだけど、オリーブオイルがいいからか、あんまり脂っこくないよね」


 うんうんと頷くミオン。

 魚のフライっていうと、やっぱりアジフライとかが定番だけど、たまにはこういうシンプルなのも。


「キュ〜♪」


「ニャ〜♪」


 トゥルーたちシャルたちも気に入ったみたいだし、今度はカレー粉を作って試してみたいところ。


 そろそろ午後11時なので、片付けを終えたらログアウトかな?

 明日は昼に屋敷まで戻って、夜は白竜姫様をお迎えすることになりそうな気がする。


<ベルさんたちが来てますがー、配信を見せても大丈夫ですかー?>


「あ、はい」


 なんだろ?

 今日はそんなに大したことないライブだったと思うし、本土で何かあったのかな?


『急にごめんなさいね』


「いえいえ、何かありました?」


『兄上。以前、無人島スタートで妖精を見つけたプレイヤーの話は覚えておるか?』


 覚えてるけど、なんていう名前の人だったかが思い出せないんだよな。妖精は確かエサソンっていう種族だったと思う。

 で、そのあとで古代遺跡を発見して、転移魔法陣が見つかって、その先が氷姫アンシアの持ってるやつで……引き篭ったって感じだったはず。


「その方がどうされたんでしょう?」


『アンシアさんとの条件交渉が進んで、本土と行き来できるようになるそうよ』


「えー、マジっすか……」


 その条件の一つに、本土側の転移魔法陣を死霊都市に置くことがあるらしい。

 まあ、そうじゃないと、いつかの聖国みたいに、攻め込まれる可能性もあるもんな……

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