第495話 ライブ再開はインパクト重視!
夜。ライブを控えて、今、スタジオの方に来ている。
俺とヤタ先生が待機場所のソファーに向かい合って座ってて、ミオンは着替えている最中。
アバター衣装なので、いつもならパッと着替えられるはずなんだけど、席を外しているのは……
「お待たせしました。どうですか?」
「うん。すごく綺麗だし、似合ってるよ」
ミオンが公式からもらった翡翠の女神の衣装に着替えて現れた。
なんでも、9月にはアルバムを出すので、そろそろ宣伝を兼ねて翡翠の女神の衣装でライブして欲しいという連絡があったそうで。
「ライブ再開のインパクトもバッチリですねー」
とニコニコのヤタ先生。
久々のライブだし、居てくれるのはとても心強いんだけど、
「ヤタ先生は帰省とかないんですか?」
「私は実家が近いですからー。親がうるさいので一人暮らししてますけどー、帰省は徒歩15分とかですよー」
「なるほど……」
って、親がうるさいとか言っちゃうんだ。
ミオンがいつもの配信のように椅子へと座るんだけど、女神の衣装とのミスマッチがすごいんだよな。
「これはスタジオも改装した方がいい気がしますねー」
「俺も同じこと思いました」
「ショウ君の方でー、いい感じにできませんかー?」
「そんないきなり……」
無茶振りされても困るんだけど、ミオンから期待の眼差しを向けられると……弱いよなあ、俺も。
まずはミオンの座る椅子、オフィスチェアな感じのを玉座っぽい感じに……違うな。
女王じゃなくて女神……
「ああ、これだ。ちょっとセット丸ごと変えますよ」
購入前に仮置きできるので選んだそれ、西洋風庭園にごろっと入れ替えてみる。
これだけでなかなか良さそうだけど、いかにもお茶会をしますという感じの、白く小さな丸テーブルと椅子を設置。
「これでどう?」
「いいと思います!」
「ショウ君の配信を映す画面はこの辺でしょうかー?」
ミオンに座ってもらい、俺が映る画面位置を調整。
結局、衣装を見せるのにテーブルは邪魔って結論になって撤去。
まあ、これ以上って話になったら、もう運営に連絡してスタジオ作ってくれって言った方がいいよな。
………
……
…
ライブまでしばらくあるので、今日の飯テロの準備。
「今日のライブはどんな感じでしょー?」
「最初はミオンの衣装とこれから収録があるって話から」
「はぃ」
で、俺に繋いでスタートは裏庭。
みんなでご飯を食べつつ、今日来てくれているアトを紹介かな。
落ち着いたら、シャルにお願いしてリゲルを連れてきてもらって、最後は届いたピアノを俺が弾いて、みんなで歌って終わる感じで。
「なるほどですー。ちなみに今日のお料理はー?」
「シチューです。具沢山な感じのを」
野菜は少し大きめにごろっと。
ランジボアの厚切りベーコンも入れたので、食べ応え十分なやつ。
「あとで食べさせてくださいね?」
「もちろん」
島に来れるようになって良かった事の一つが、俺が作った料理を食べられるようになったことだよな。
とはいえ、今回は作って味見したところで時間になっちゃったから、逆に我慢するのが大変かもだけど。
「〜〜〜?」
「スウィーたちにはリンゴのスイーツを作るから心配しないで」
この間、アージェンタさんたちが来たときに、またリンゴが欲しい旨を伝えたら、一箱分ぐらいどっさりと保存箱に入れられていた。
それを使って、簡単にできるリンゴのキャラメリゼを作る予定。
「リュ?」
「ニャニャ」
「ゥゥ」
料理は俺が担当だけど、テーブルや食器の準備はパーン、シャル、アトたちが手伝ってくれている。
そういえば、カーバンクルの中に、アトたちギリー・ドゥーと仲の良い子たちがいて、向こうの森で暮らしたりしてるっぽい。
<そろそろ時間ですよー>
『ぁ、はぃ』
「りょっす。えーっと、ルピ〜?」
俺が料理とかしてる時は、たいてい、レダやロイと追っかけっこしたりしてるんだけど……
「ワフッ!」
「「バウッ」」
裏庭の一番奥、生垣を飛び越えてルピたちが現れる。
そのまま走ってきて俺に飛びつくルピと、しゅたっと左右に控えてお座りするレダとロイ。
「そろそろ始まるから」
「ワフン」
椅子に腰掛けると、すっと足元に伏せる。
えっと、コメント欄は……オッケー。
しばらくはミオンのスタジオでのトークが続くはずなので、椅子に腰掛けて待機……
<10秒前……、5、4、……>
『みなさん、ミオンの二人のんびりショウタイムへようこそ!
実況のミオンです。よろしくお願いします!』
【シューメイ】「うおおおおおお!」
【ブルーシャ】「翡翠の女神キター!」
【デイトロン】「<翡翠の女神降臨:10,000円>」
【ベアメン】「可愛いいいぃぃぃ〜♪」
etcetc...
久しぶりっていうのと、ミオンが翡翠の女神の衣装を着てるからか、視聴者さんたちのテンションがヤバい……
デイトロンさんの高額投げ銭が呼び水になって、すごい勢いで投げ銭が流れていく。
『あ、ありがとうございます。えっと、この衣装はIROの運営さんから正式に頂いたもので……』
前のPV収録でもらった話をざっくりと。世界に一着しかない衣装で、ミオンしか着れないことなんかを説明する。
【ナイトニ】「運営GJ!」
【コックリ】「公式女神だもんね〜(´∀`*)」
【ロガッポ】「ちょっと立ってくるっとしてもらえませんか?」
【ヨソロー】「これは神運営!」
etcetc...
<ミオンさんー。問題なければー、立ってみてくださいー。カメラは私の方で制御しますー>
ヤタ先生のナイスなフォローが入ったからか、ミオンが立ってくるっと回ったっぽい?
それでまた投げ銭がすごいことになるっていう……
<では、そろそろ島に繋ぎましょー>
おっと、出番っぽいな。
『えっと、それではそろそろ島へと繋ぎますね。ショウ君、ルピちゃん、島のみんな〜』
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