土曜日

第494話 いろんなことの下準備

 昼飯を食べて即ログイン。

 夜のライブは飯テロをメインにしつつ、ギリー・ドゥーたちとリゲルを紹介するつもりなので、必要なのは料理の下拵えぐらいかな。

 まだ時間もあるし、屋敷に白竜姫様の滞在スペースを作るべく作業中。


「よし、これでいいか」


 玄関を入って、正面ホールからそのまま入れるバーだった場所は、レダとロイの部屋で、シャルたちがお泊まりになる時にも使えるように。

 バーカウンターは残してあったんだけど、それを取り払って、レダとロイの寝床を新たに用意した。


「どう?」


「「バウ」」


 ランジボアの皮を敷いて、ミオンが裁縫のスキル上げに作った敷布団を置くと、2人とも気に入ってくれた様子。


「ショウ君。休憩しませんか?」


「りょ」


 天気が良いので外でおやつタイム。

 裏庭はミオンに任せてるんだけど、スウィーたち、アトたちとお手入れしてくれたおかげで、すごいクオリティーが上がってる……


「ミオン、園芸スキルのレベルいくつ?」


「ぁ、さっき7になりました」


「おお、早い……」


 任せちゃってるから当然なんだけど、俺のスキルレベルをあっさり追い越しちゃったなあ。

 このまま続けてれば上限も見えてきそうだし、魔銀ミスリルのハンドスコップも作らないと。


「ニャ〜」「「「ニャ〜」」」


「リュ〜」「「「リュ〜」」」


「おー、いらっしゃい」


 シャルたち、パーンたちが今晩用の食材を持ってきてくれた。

 シャルたちからはエクリューミルクにヤコッコの玉子。パーンたちからは野菜をたくさん。


「いつもありがとう」


「ニャ」「リュ」


 そのまま厨房の方へ。魔導保存箱に入れておいてくれるんだろう。

 ミオンが戻ってくるシャルたちのために、おやつの追加を用意してくれる。


「残りの時間で家具は揃いそうですか?」


「うん。凝ったもの作らなくていいって話だし、大丈夫だと思うよ」


 食堂は白竜姫様の部屋になるので、ベッド、クローゼット、机にテーブルと椅子。

 配膳室はエルさんの部屋になるので、ベッド、クローゼット、机、椅子。

 使用人室はアージェンタさんたちが来た時に使えるように、とりあえずベッドを3つほど用意しようかなってぐらい。


「できあがったら見せてくださいね」


「もちろん。ミオンの方はどう?」


「裏庭はこれくらいにして、教会までの道に生垣を作ろうかと」


「おお、いいね」


 屋敷の周りにある生垣を伸ばしていく方向で考えているらしい。

 スウィーから新芽からさし木で増やしていく方法を教えてもらったそうだ。


「スウィー、ありがとうな」


「〜〜〜♪」


 相変わらずのドヤ顔だけど、これは納得かな。

 ご褒美のドライアームラを追加すると、手に持っていた分を口いっぱいに放り込んで、追加分を確保しようとする。


「服とか布製品もクロたちのおかげで充実してきたし、あとは島の北側を探索し終われば、のんびりできそうかな」


「はぃ。気になるのは南の島のガジュ君たちですけど……」


「まあ、あっちはベル部長たちに任せてれば問題ないと思うけど。一応、明日の昼に様子を見に行こうか」


 攻めてくるコボルトが前とあまり変わらないんなら、石で作り直した砦を突破されるようなことはないと思う。

 ただまあ、贅沢を言えば、


「神樹がこの屋敷のすぐ近くにあると嬉しいんだけどなあ」


「パーン君のところも、スウィーちゃんのところも、ラケちゃんたちのところも遠いですよね」


「そうなんだよ」


 あそこに行くまでの時間がちょっともったいない。

 神樹をうちの庭に植え替える? いや、さすがにそれはバチが当たりそうだな……


「うーん……」


「あの、ショウ君。一ついいですか?」


「うん?」


「南の島で回収した転移魔法陣はどう使うんでしょう?」


「あ……」


 東側の酒場か灯台あたりに置こうかと思ってた転移魔法陣だけど、セルキーの里に神樹があるからいらなくなっちゃったんだよな。

 南の島から回収できたことで、すっかり満足しちゃったけど……


「一つをお屋敷に置いて、もう一つを山小屋の方に置くのはどうですか?」


「なるほど。グリーンベリーを採りに行くのも近くなるか」


 あそこはあそこで、頑張って作った石の蔵があったりするし、愛着ある場所なんだよな。


「スウィーはどう思う? 盆地のところの神樹ってスウィーのお気に入りなんでしょ?」


「〜〜〜♪」


 ぐっとオッケーのサムズアップを返してくれる。

 屋敷側の転移魔法陣をどこに置くのかを少し悩んだけど、番犬ならぬ番狼がいるレダとロイの部屋、つまり、さっきまで作業してた場所に置くことにした。


「よし。じゃ、さっそく山小屋の方も置きに行こうか」


「ぁ、私が行ってきます。ショウ君は作業の続きを」


「ニャフ!」


 シャルが護衛は任せてほしいと胸を叩く。というか、スウィーたちもパーンたちも行くつもりっぽいな。


「じゃ、任せるよ。ルピ、レダ、ロイもいい?」


「ワフ」「「バウ」」


 転移魔法陣を置いたあとは、南側をぐるっと回ってくるとのこと。

 1時間半ぐらいのコースだし、その間にこっちも家具作りを終わらせられるように頑張ろう。


 ………

 ……

 …


「ワフ〜」


「ただいまです」


 家具を揃え終わり、配置してるところでミオンが戻ってきた。

 ……急に部屋に現れると、ちょっとびっくりするな。


「おかえり」


 転移魔法陣は山小屋の1階に設置し、使ってなかった魔導常夜灯を置いてきたので、あかりもバッチリとのこと。

 その後、南側をぐるっと回って、いろいろ採集してきたと。

 それはいいとして、一緒に行ったスウィー、シャル、パーンたちがいないんだけど……


「スウィーたちは?」


「ぁ、神樹からパーン君たちと一緒に帰るそうです」


 ああ、そのままウリシュクの集落へ行って、シャルたちも教会へ帰るってことか。

 スウィーたちはグレイプルを食べたら戻ってくるんだろう。


「とりあえず家具は揃えられたし、仮置きなんだけど、どうかな?」


「いいと思います。一度、アルテナちゃんやエルさんにも見てもらいましょう」


「りょ」


 使うのは白竜姫様やエルさんなんだし、見てもらって使いやすいように配置し直してもらおう。


「じゃ、俺はライブの飯テロの下拵えかな」


「私も手伝います!」


--------

※屋敷間取り図

 https://kakuyomu.jp/users/kimino-neko/news/16818093073379562919

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