第470話 VSコボルト軍団
レダとロイのことだし、トップスピードで走ってきてるはず。
コボルトたちの数は多いけど、キジムナーたちには砦もあるし、ルピにレダ、ロイが加われば大丈夫だろう。
なので……、隠密のままコボルトたちに背後から近づき、一番端にいるコボルトをギリギリ鑑定の範囲内に納める。
【コボルト】
『二足歩行する犬のモンスター。小規模の群れを作って家畜を襲ったりすることがある。
噛み付かれた傷を放置しておくと、毒から病気となることが知られている』
可愛い感じなら躊躇したかもだけど、血走った目とぼたぼたと垂れるよだれ、そして不衛生な臭いがキツい。
(あれがボスっぽいな……)
集団の中央付近に【コボルトスリンガー】に【コボルトリーダー】のプレートが見えた。
コボルトスリンガーってなんだ? って思ったんだけど、拳大の石を挟んだ革紐のようなものを持って待機している。
コボルトリーダーは他のコボルトよりも二回りは大きく、俺より背があるな……
「ウガアアア!」
「「「ガァァ!」」」
リーダーの声で、寄せ手のコボルトたちがいったん下がる。そしてスリンガーたちが一斉に革紐を振り回し、そこからかなりの速度の石が投擲された。
身を乗り出しそうになるのをグッと堪えて見守ると、石の多くは砦の柵へと当たってダメージを与えたっぽい。
どうやら柵を壊すために投石してるようなので、次が放たれる前に止めたいところ……
「「ウオォオォン!」」
来た!
レダとロイの声が響き渡り、コボルトたちが
人数有利はそんなに覆ってないように感じるんだけど、ルピもレダもロイも狼ってことで、かなわない何かを感じてる?
「ウガァ!? ガガァ!!」
その様子に苛立ったリーダーが、再度スリンガーたちへと投石を命じたっぽい。
ミオンたちももうすぐ来るはずだし、今しかないか!
(<火球>!)
スリンガーたちへと放たれた火球は、そのうちの1人の背に着弾して爆発する。
火球を喰らったスリンガーたちだけでなく、突然の魔法攻撃に驚いたコボルトたちも、泡を食って逃げ出した。
コボルトリーダーもさすがにまずいと思ったのか踵を返して走り出したんだけど、当然、そのまま逃すわけもなく……
(<投げナイフ>!)
「ガッ!?」
(<バックスタブ>!)
剣鉈を延髄に叩き込む!
【隠密スキルのレベルが上がりました!】
【特殊剣マスタリーのスキルレベルが上がりました!】
よし!
で、コボルトリーダーは倒せたけど、
「ガァ!」
俺に気づいたコボルトが襲いかかって来るのはしょうがない。
ミオンたちが近づいて来てるのもわかってるし、うまく時間を稼ぐかと思ってたら……
「ガッ!?」
「え?」
スリングを振り回して近づいてきたコボルトが、急に硬直してバッタリと倒れる。
そいつ以外にも逃げようと走っていた奴らもどんどんと……
「ゥゥ」
「ああ、アトたちか。ありがとう」
いつの間にか樹上にアトたちがいて、吹き矢でコボルトたちを攻撃してくれたらしい。っていうか麻痺毒の吹き矢か……
「ニャ!」
「シャル。みんなは?」
「ニャ〜ニャ」
ふむ、ミオンとスウィーたちはキジムナーのところと。怪我してる子がいるかもしれないもんな。
シャルたちは護衛目的で戦える装備で来てるので、逃げるコボルトを仕留めに来てくれたらしい。
ぐるっと見回すと、キジムナーとケット・シーのペアで、コボルトがどんどん仕留められている。
「ニャ?」
「ああ、ごめん。みんなに深追いはしないように伝えて」
「ニャ!」「ゥゥ」
ざっと見渡した感じ、アトたちギリー・ドゥーが吹き矢で足止めして、シャルたちがトドメを刺して回ってる感じかな。
これはもう俺の出番はなさそう……。今のうちに、ちゃんと鑑定しておくか。
【コボルトリーダー】
『小規模なコボルトの群を率いるリーダー。
普通のコボルトよりも一回り以上大きな体躯で、部下のコボルトたちを指揮する』
なるほど。
スリンガーの方は、
【コボルトスリンガー】
『スリングを武器に持つコボルト。
普通のコボルトよりも腕力がある』
ふむふむ。
この投石にも使ってたスリングは……
【壊れかけのスリング】
『石をくるんで振り回し、打撃もしくは投擲する武器。
攻撃力+10』
ちょっと面白そうだけど、弓も全然使ってないからなあ。うす汚れてるし回収しなくてもいいや。
コボルトリーダーを解体したけど、手に入ったのは小サイズの魔石だけ。他のコボルトは放置だな。
「ニャ!」
「え? もう全滅させたの?」
「ゥゥ」
1、2匹は逃げたかもしれないけど、見かけたコボルトは全滅させたそうだ。
……やっぱり、うちの子たち強すぎじゃない?
「ありがとう。じゃ、キジムナーたちのところに行こうか」
アトたち、シャルたちを行かせ、俺がしんがりを受け持って引き上げ。
ああ、そうか。コボルトたちって、俺が島で最初に倒したゴブリンたちと同じで、無人島スタート用のモンスターなのかも。
………
……
…
「「「ジュジュ〜!」」」
砦に入ると、キジムナーたちが大歓声で迎えてくれた。
そして、
「ワフ!」「「バウ!」」
「ありがとうな」
ルピはいち早くキジムナーたちのピンチに気づいてくれたし、壊れた柵のところに寄せてきたコボルトたちもしっかり完封してくれた。
連絡してすぐに駆けつけてくれたレダとロイも、コボルトたちが変な方向に逃げないように追い込んでくれたし。
で、えっと……
「ショウ君。こっちです」
声が聞こえた方へと向かうと、キジムナーたちに囲まれるミオンの姿が。
「どうしたの?」
「怪我をしてた子がいたので治療を。もうみんな大丈夫ですよ」
コボルトの投石で怪我をした子が数人いたらしいけど、その子たちに治癒をかけてくれていたらしい。
大怪我をした子はいないと聞いてほっと一安心……
「あれ? スウィーとトゥルーとパーンは?」
「ぁ、キジムナーのリーダー君とお話ししてると思います」
レダとロイが合流したあと、しばらくしてからミオンたちも合流。
怪我をしてる子に気づいたミオンが治療をしている間に、キジムナーとスウィーたちがあれこれ話をしていたらしい。
「今はどこに?」
「リュ〜」
ぐるっとあたりを見回すと……パーンがこっちこっちと手を振ってくれている。
ミオンの治療も一通り終わったとのことなので、とりあえず挨拶にかな?
「なんだかノリで助けちゃったけど、これで良かったのかな?」
「いいに決まってますよ」
まあ、女神様が言うなら間違いないか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます