第452話 重大な問題を検知しました
特大魔晶石の2割ほどにMPを注いだベル部長。
それでも最大MPからすれば割と余裕らしい。さすが純魔ビルド。
[非常用マナの充填を確認しました。保全状態を終了し、再起動します]
「お、来た!」
「おおー!」
部屋の照明が二度三度と明滅し、やがて安定したところで、
[再起動が完了しました]
という声。ニーナの時と同じなら、これであとは管理者登録のはず。
ベル部長の方を見て頷くと、
「じゃ、やってみるわね」
ベル部長がコンソールの前へと。
[ようこそ。指輪をはめた状態で、所定の位置に手を置いてください]
どの辺かは俺の記憶だけでなく、手のひらほどの丸い枠がちかちかと点滅しているので間違えようもない。
「ほうほう」
覗き込んでいるセスがすごく嬉しそうというか、まあ、ワクワクする気持ちはわかるけど。
ミオンはスウィーたちとおやつタイムを楽しみつつも、こちらが気になる様子で少し離れたところで様子見中。
[確認中……完了しました。管理者情報が初期化されているため、管理者登録を実行します]
うん。そんな感じだったなあ。でも、微妙に声が違うのって、古代遺跡ごとに違うとかなのかな?
丸い枠の点滅が消えて、ベル部長が手を離す。
「これでいいのかしら?」
「ええ、あとは管理者の呼称の設定だったかなと」
そんなこと話してると、
[管理者登録を完了します。管理者の呼称を設定してください]
「『ベル』でお願い」
[管理者登録が完了しました。ようこそ、ベル。現在、本施設は再起動後の各部点検中です。特に指示がない場合、点検完了までおよそ15分です]
〖古代遺跡の新たな管理者が現れました!〗
「おおー、おめでとうございます」
「おめでとうございます」
「うむうむ。めでたい!」
「おめでとー」
ほっとした表情のベル部長にみんなからお祝いの言葉が。
スウィーやパーン、シャルたちも拍手してくれて和やかな雰囲気に。
「ワールドアナウンス、出てたよね?」
「はぃ。出てました」
「その後に古代遺跡の管理者っていう称号はもらえたのだけど、褒賞SPは『ありません』だったわ」
とベル部長。俺の時に褒賞SPがもらえたのはやっぱり『ワールド初』だったからっぽいな。
まあ、管理者になるだけでSPもらえたら、管理者を持ち回れば稼げちゃうからだろうけど。
「ねえねえ。ショウ君のところみたいに話せるようになってる?」
アズールさん、俺たちの会話を聞いてたみたいだけど、それにはあえて触れず、終わるまで待っててくれたっぽい。
「あ、えっと……まずは自己紹介? してもらうのがいいかと」
「え、ええ、聞いてみるわね。ここは、あなたはどういう施設なのか説明してもらえるかしら?」
[はい。本施設は自律型資源採掘施設、RM-103です]
事前に聞いてたのは、確か『南洋海底資源採掘施設』だったと思うけど、そっちは通称的なものなのかな。
で、それはいいとして、
「ヒトミさんでいいかしらね?」
「はぃ。いいと思います」
「じゃ、あなたの名前は『ヒトミ』ね」
[はい。呼称を『ヒトミ』に変更しました]
ベル部長とミオンの二人には名前の方が重要らしい。まあ、これから話をするにあたって、名前はあった方がいいか。
時間的にもまだ余裕はあるので、RM-103改めヒトミに色々質問しようということに。
「まずはそうね。この採掘施設での、あなたの役割を教えてくれる?」
[はい。本施設では、私、ヒトミが各種設備の管理、運用を行っております]
だいたいうちと同じ感じだけど、採掘に特化してて、かつ、その規模がすごくでかい感じっぽい。
「ここの各階層はどういう構成なのかしら?」
[はい。初期状態での各階層の設定は……]
ヒトミさんの説明では、
・地上10階:制御室
・地上9階:執務室、資料室
・地上8階:事務室
・地上5,6,7階:研究室
・地上2,3,4階:製作室
・地上1階:基幹部、倉庫
・地下1,2階:精錬室(炉)
・地下3,4階:大型作業室
・地下5階:大型転送室
・地下6,7,8,9階:一般鉱石採掘場
・地下10階、小型転移室
となっていて、
[地下11階以降は特殊鉱石採掘場と設定されています]
「特殊鉱石?
[地下11階以降にある資源は、天空より飛来した隕石が含む
「「「ええっ!?」」」
ヒトミさんの話だと、ここの初期状態は地上10階、地下11階だそうだ。で、そこから下へと掘り進めるための施設とのこと。
地下から鉱石資源を掘ってるのかと思ったら、落ちてきた隕石を掘ってたのか……
「転移エレベータに地下30階までボタンがあったから、そこまで掘り進めてたってことだよな?」
「であろうの。兄上はまだ行っておらんのだな?」
「行ってない行ってない」
どう考えてもヤバい敵しか出なさそう。というか、あの時はミオンを迎えに、外へ出ることしか考えてなかったし……
[報告。施設の点検中に重大な問題を検知しました]
「「「え?」」」
「……重大な問題って何かしら?」
[地下11階の基幹部にて大規模な断絶が起きており、地下11階から下層への管理が完全に不可能となっています]
そもそも、そこまでは行けそうにないらしい。
「ショウ君のところだと、古代遺跡が自力で修復できたんだよね?」
「はい。あ、マナを補充すればできるかも? うちの時はニーナが修理できるって……」
「はぃ。非常用のマナで対応できると」
さすがミオン、しっかり覚えてくれてる。
一応、ベル部長にその辺を聞いてもらう。
[いいえ。発生している断絶を修復するには、非常用魔晶石のマナだけでは足りず、また、必要な資源も不足しています]
「そっかー……」
と残念そうなアズールさん。
気持ちはわからないでもないんだけど、
(これは『そういうこと』なのかしらね?)
(おそらく『そういうこと』であろうの)
(ああ『そういうこと』ですか)
(ぁ……)
ちょっと離れてコソコソ話す俺たち。
なにが『そういうこと』なのかというと、問題が起きてて行けない地下11階以降は『未実装』なんじゃないかと……
「まあ、現時点では十分な収穫と言えよう。まだ時間はあるようだが、この後、どうするのだ?」
セスに言われて時間を確認。あと1時間ちょいある感じ。
それなら、
「その断絶してる場所を見に行きません?」
本当に『そういうこと』なら、そこがどうなってるか見てみたい……
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