第356話 ピザパライブ開始!

 ログインして、まずミオンと相談。

 昼に料理スキルの上限突破をし、上位スキルが取得できるようになったんだけど。


「まずは薬膳マスタリーがいいかなって」


『いいと思います。それで先駆者褒賞がもらえたらどうしますか?』


「その時は料理も製菓も取ろうと思ってる」


 先駆者褒賞もらえなくても取っていいかもなんだよな。

 工芸と同じパターンなら、料理やお菓子を複製できるアーツとか取得しそうだし。


「ワフ!」「「バウ!」」


 古代遺跡を出たところで、いつものようにルピたちがダッシュ。

 教会をぐるっと一周してくるのがお約束になってるっぽい。


「天気は大丈夫そうかな。あ、本土の方はどう?」


『今のところは大丈夫そうです。雲は出てるようですが、日が差してます』


「りょ。ま、気にしてもしょうがないか」


 本土では竜族との交流会が始まってる時間。

 とはいえ、俺ができることはもうないし、セスやベル部長、マスターシェフさんがうまくやってくれてるはず。

 畑仕事をしてくれているウリシュクたちに挨拶していると、パーンや他のウリシュク、カーバンクルたちが崖に設置したステップを降りてくる。


「リュ〜♪」


「お〜」


 少し屈んで、パーンのハイタッチに応えると、


【アライアンスを申請しますか?】


「ん? ああ、パーンたちはウリシュクでパーティ組んでるのか。じゃ、申請っと」


「リュ!」


 スウィーとフェアリーズ、ラズとカーバンクルたちもパーティを組んでるようなので、そっちも招待して準備完了かな?


『今日は草むしりとご飯ですよね?』


「うん。戦闘にはならないと思うけど一応ね」


 教会の前でルピたちと合流し、正門を開けて外へ。

 屋敷までの道の左右を優先してもらったので、以前と印象が全く変わった感じ。視界が開けてると、安心感があるなあと。

 今日は主に屋敷の裏庭の草むしりしてもらって、その間に俺は料理を作りつつ雑談って感じ。

 最後にまったり演奏かな。もちろんミオンに歌ってもらう予定。

 ミオンとSEEの契約では、俺のIROの配信中に歌うことについてもちゃんと許可をもらっている。

 そうじゃない時は『今後、アルバムを出すことも考えているのでできれば……』とのこと。まあ、そうだよなあ。


「ワフ?」


「おっと、じゃ、見回りよろしく」


「ワフ!」「「バウ!」」


 セーフゾーンになったとはいえ、用心に越したことはないだろう。

 レダとロイが二手に分かれ、屋敷の外周警戒に向かう。ルピは俺の元を離れるつもりはないらしい。


「掃除したいなあ……」


「ワフン……」


 屋敷の正面玄関から入ったところはホールなんだけど、ボリゼラットが住み着いてたせいでかなり汚い。モップでゴシゴシ……いやもう床ごと張り替えたい。

 そのまま真っ直ぐ進んで、裏口の扉を開けると、


「リュ〜!」「「「リュリュ〜!」」」


 パーンの号令で、さっそく裏庭の草むしりを始めるウリシュクたち。

 フェアリーズは今日もまた花集めかな? 前に集めた花は教会裏の一角にも植え替えられたみたいで、そっちもまた確認しないと。

 スミレとかマツヨイグサとか微妙に季節バラバラだけど、そんな感じの花が増えてたし。

 ラズとカーバンクルたちはマローネの樹の方へと。セーフゾーン内にあるし、あっち側はレダが見てるから大丈夫だろう。


「と、翡翠の女神像にMP入れておかないとか。特に問題なければ、3日ぐらいは聖域持つんだっけ?」


『だそうです。死霊都市の時はそれぐらいだったと』


 実際、毎日ログインできない人もいるわけだし、それぐらいになるよなと。

 聖域ができてセーフゾーンになったので、聖域が切れるとセーフゾーンも小さくなる可能性がある。

 できるだけ聖域を維持しつつ、セーフゾーンが小さくならないように柵なり防壁なりを整えたいところ。

 祭室の翡翠の女神像さくっとMPを補充してから、再び裏庭へと戻る。


「石窯作るから、二人も好きにしてていいよ」


「ワフン」「〜〜〜♪」


 二人が向かったのはマローネの樹の方かな?

 そういえば、栗のイガってカーバンクルたちどうしてるんだろう?


『ショウ君、あと10分です』


「りょ。急ぐよ」


 ピザ用の石窯も石壁の魔法を組み上げればいいだけなのであっという間に。

 屋敷の厨房にコンロがあったけど、あれを使うのは屋敷を隅々まで綺麗にしてからで……


 ………

 ……

 …


『それではさっそく島に繋ぎますね! ショウ君、ルピちゃん、島のみんな〜』


「ようこそ、ミオン」


「ワフ〜」「〜〜〜♪」


 そばにいるのはルピとスウィーだけ。

 しっかりライブ開始前に戻ってきてくれた。

 レダ、ロイは真面目に巡回警備中だし、パーンはウリシュクたちと草むしりに熱中している。


『今日は前回のお屋敷の裏庭からですね?』


「うん。今こんな感じで」


 カメラをぐるっと作業中のパーンたちウリシュクに向ける。

 彼らのそばにはフェアリーズもいたりして、育てたい花の選別とかをしてるっぽい。


【サック】「すごい! ウリシュク全員?」

【ペーター】「あんなに荒れていた裏庭が!」

【ナーパーム】「トゥルー君たちも呼びたい……」

【ミイ】「今日は探索……ではなさそうですね」

 etcetc...


「今、この屋敷の裏庭をパーンたちに綺麗にしてもらって、俺はその間にご飯を作ってみんなで食べようかなって」


 コメント欄が『飯テロ』で盛り上がってるようで一安心。


『さっそくお料理ですね。今日は何を?』


「えっと、コハクが手に入ってコハク粉がゲットできたから、それでピザを作るつもり」


 既に生地は作成済み。

 コハク粉に塩、グレイプル酵母、オリーブオイルに水と必要最低限でうまくできた。料理スキルが上限突破してるおかげかも?


【バイタミン】「ピザ!」

【アクモン】「具は? チーズ? ベーコン?」

【ジョント】「エビとかイカならトゥルー君も呼べる!」

【ピューレ】「ちょっとワイン取ってくる!」

 etcetc...


「今日は普通にチーズ、ベーコンと野菜かな。あ、サブマロっていうキノコをマッシュルームがわりに使います」


 野菜はライコス(トマト)、メランザ(ナス)の二種類でシンプルに。

 ちょっと移動して、今日のために新調したテーブルの上で調理開始。といっても、ピザ生地の上にライコスピューレを塗って、具材を置くだけだけど。


『大きいですね!』


「うん。今日は人数多いからね」


 サイズ的にはLなのかな?

 生地はまだまだあるけど、一度に焼けるのは1枚だけなので、どんどん焼いては食べていってもらう予定。


「よし。これを窯に入れてしばらく待てば大丈夫のはず」


 温度管理を火の精霊に任せて置けるので、焼けるまでに次のピザを準備……


『ショウ君。質問しながらでも大丈夫ですか?』


「あ、オッケー」

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