第255話 管理者特典・製作室

『ベルさんのライブが終わりそうなのでー、ちょーっと様子を見に行きますねー』


『はい』


「お疲れ様っす」


 鉄以外の鉱石の使い道について、ミオンとヤタ先生を交えてあーだこーだと話しながら採掘を。

 ベル部長のライブは8時過ぎに始まって、そろそろ9時って感じかな。

 結構な頻度で10時前までやるライブだけど、今日は早く終わらせるんだろうな……


「んじゃ、まずは掘ってきた鉄鉱石をインゴットに……」


 久々の採掘でスキルもレベルアップ。

 掘れた鉄鉱石を古代魔導炉に放り込み、マナを注ごうと思ったんだけど。


『どうしました?』


「いや、ちょっと気になったっていうか。ニーナ、ここの設備ってひょっとしてニーナの方でマナの補充できたりしない?」


[はい。可能です。魔導炉および魔導火床にマナを補充しますか?]


「うん。お願い」


 そう答えると、炉がうっすらと光ってすぐ消える。

 今の一瞬でマナが補充されたっぽい。


『すごいです!』


「便利すぎる。っていうか、これって管理者がいるからってことなのかな?」


[はい。本施設は保全状態を経たため、各種設定も初期状態となっております]


 じゃ、デフォはオフだったってことか。っていうか、


「これ、起動とかは自動でやってくれない感じ? やっぱり俺がやらないとなの?」


[はい。それらの魔導具について、私から能動的に動作させることはできません]


 通路を修復した時に、土砂を動かしてたりしたから、鉱石を炉に入れてインゴットにとかできそうな気がするんだけど。

 勝手にやっときましたってのは、稀に「そんなつもりじゃなかった」ってこともあるから?

 いや、何でもかんでも勝手にやってくれると、それはそれでスキルレベル上がらなくなるからいいか。


「りょ。ここの魔導具は使ってない時にはマナ補充しといてくれる?」


[はい。設定を変更しました]


 よしよし。これでMP消費しなくても、ほぼいつでも使える感じだよな。

 魔銀ミスリルのインゴット作るのは結構MP持っていかれたけど、次からはそれ気にしなくて良さそう。

 まあ、あれから最大MPも増えたし、MP回復もまた早くなってるから大丈夫なんだけど。


『他の魔導具を持ってきても良いんでしょうか?』


「あー、保存庫とかも中に置いておけば、MP補充しなくて済むのか」


『そうですね。後は醸造する魔導具とかを』


「あれ、運べると良いんだけどな……」


 備え付けっぽい感じだったから無理そう。

 あ、中サイズの魔晶石を換えに用意しとくだけでもいいのか。……後にしよう。

 まずは魔銀ミスリルで高品質な木工道具を作らないと。


 ………

 ……

 …


【鍛治スキルのレベルが上がりました!】


「お、やった」


『おめでとうございます!』


 これで鍛治スキルは9だよな。

 やっぱり希少な金属を使う方がスキル経験値もおいしいのか?


「さて、出来はどうかな?」


 まずは簡単な中サイズのノミを作ってみた。


【最高品質のノミ(中)】

『木材に使用する中サイズのノミ。魔銀ミスリル製で最高品質。

 木工+1、大工+1』


「は?」


『すごいです!』


 木工って今スキルレベル……9か。大工は6と。

 これで10と7になるんだけど、木工が素で10になれば木工スキルの上限突破?


「今まで魔銀ミスリルで道具を作った人っていないのかな?」


『フォーラム見てきましょうか?』


「あ、うん。お願い」


 魔銀ミスリルもそれなりに掘れてるはずだし、それなら誰かが作って既に上限突破してる人がいそうな気がするんだよな。

 あ、あともう一つ気になることが……

 とりあえず、ミオンが戻って来るまで、違う大きさのノミを作ろう。大小一本ずつあればノミとしては十分なはず。


『戻りました』


「あ、さんきゅ。どうだった?」


『みなさん、魔銀ミスリルは装飾品にしてるみたいです。それとノミを一本まるまる魔銀ミスリルで作るようなことはほとんどないみたいですよ』


 ……そりゃそうか。

 宝石と合わせてアクセにすると何かしらのスキルにプラス補正ってなれば、そっちで作って装備するか、高値で売るかだよなあ。


「んー、でも短剣ぐらいなら作ってる人がいると思うんだけど」


魔銀ミスリル鉱石が見つかっても、取れる量が少ないそうですし、また次に取れるようになるまでに……』


「あー、2週間かかるのか」


 鉱石掘れても、インゴットにする時に目減りするしなあ。

 俺が掘削の魔法で掘れたのがやっぱりおかしい気がする……


『純魔銀ミスリルの武器はレオナさんの双剣の一つがそうらしいですよ』


「うお、マジか……」


 親衛隊の人たちが集めに集めて、短剣をまるまる純魔銀ミスリルで作った一品なんだとか。

 あそこはレオナ様を強くするためなら、なんでもやる人らばっかりだもんな。


「そんな状態でノミ一本を全部魔銀ミスリルでって、俺くらいなもんか……」


『です』


「ま、遠慮する気もないけどねっと」


 2本目というか、小サイズのノミが完成。

 鑑定すると、やっぱり木工と大工に+1がついてるんだけど、これを……


『あ!』


「やっぱりダメか」


 両手に持ってみたけど、スキル補正がそれぞれ効いて一気に限界突破! とは行かず。

 同じ類の道具なら補正が複数適用されたりしないんだろうな。


『ショウ君のマントやブーツ、グローブは重なってるのに不思議ですね』


「そだね。まあ、防具とかアクセなら重なるかもなのかなあ。生産系でそういうのって思いつかないけど……」


 とはいえ、今は木工が+1されて10になってくれれば十分。

 女神像はとりあえず一番レベルが高い木工で木像の予定だし。


「あとは細かい彫刻刀とかヤスリとか作るか……」


魔銀ミスリルのインゴット、全部使っちゃうんですか?』


「うん。多分、来週の日曜にはもう魔銀ミスリルの鉱床が復活してるはずだし」


 古代遺跡の管理者になったのが先週の日曜日。

 ニーナが再起動して、鉱床の復活サイクルも戻ってるはず。


『でも、円盾を新しくするとかの方がいいんじゃ……』


「うーん、それはまあ今のワールドクエストが終わってからで良いかなって」


『え? ワールドクエストですか?』


「うん。教会に女神像を置けたら正門の先に行こうと思うんだけどさ……」


 古代遺跡の管理者の件とか、女神像が聖域を作り出すとか。

 俺がネタバレ踏みまくってる気がするし、ちょっと自重というか、しばらくのんびりしよう……

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