第243話 隣の島?

「今回はお留守番頼むよ。お土産期待してて」


「「「〜〜〜♪」」」


 というわけで夜。

 フェアリーズに見送られ、俺、ルピ、スウィーの3人で制御室〜資料室〜動力部監視室のツアーに出発。


「土曜のライブで何を話すかも決めようか」


『はい』


 そのまま港まで行って、金曜はトゥルーたちと遊ぶ予定。

 あ、セルキーたちに燻製作る方法を教えておいた方がいいかな? あの二つある倉庫は何も使ってないし、燻製室にしちゃうのも手なんだよな。


「ニーナ、特に異常はない?」


[はい。現在、通常通り稼働中です]


 よしよし。

 で、まずはニーナを紹介するかどうかなんだよな……


「ライブでニーナと話すのはやめた方がいいかな?」


『そうですね。何ができるとかもしばらくは調査中でいいんじゃないでしょうか?』


「だよな。まあ、俺としてはこの中が明るくて安全になっただけで十分だし」


 マナリサイクル施設ってことで、魔晶石にマナ(MP)を溜めてくれたりもするけど、わざわざ説明することでもないかなと。

 十字路を右折、転移エレベータで上へ。いったん展望台に出て、ルピのお母さんのお墓参りをしてから制御室に到着。

 まずは部活の時に聴き忘れてた件を。


「ニーナ。中央魔術士同友会って知ってる」


[いいえ。情報がありません]


 やっぱそうか。マナリサイクルに何も関係なさそうだもんな。

 あとは……


「テオ・マクディルって人については知ってる?」


[いいえ。保全状態になる前であれば、管理者情報、および、利用者情報に存在した可能性はありますが、それらの情報は保全状態に移行した際に破棄されています]


 そうだった。

 だから俺が管理者になっちゃったんだよな。


「聞きたいことはそれぐらいかな?」


『ショウ君、動力部について聞いてください』


「ああ、そうだった。ニーナ、動力部って何をどうしてるの?」


[動力部では火口より噴出するマナの一部を回収し、本施設の維持に利用しています。動力部監視室から観察可能です]


 火山の火口を覗けるのかな? なんか凄そうだし、期待大なんだけど……


「それって危なくないよね?」


[はい。動力部監視室は転落防止用の魔導安全柵も稼働中です]


 魔導安全柵……確かバルコニーにあったやつだよな。

 あれが機能してれば、落ちたりしないってことか。


『大丈夫そうですね』


「うん。じゃ、まずは資料室の片付けに行こうか」


「ワフ!」


「〜〜〜♪」


 ………

 ……

 …


「うわあ……」


『古びたローブやブーツなんかは、やっぱり……』


「だと思う」


 明るいと散らかってるのが余計にわかるし、それらはミオンの想像通り、俺たちが駆逐したアンデッドのものなんだろう。

 まずは鑑定なんだけど、どれもこれもただのボロいローブとかブーツで役立ちそうなものは見当たらず。

 正直、手で触るのもどうかなって感じなので、神聖魔法で浄化をかけ、このために持ってきた木の棒2本を使って木箱へ回収。


『処分するんですよね?』


「うん。今はここに置いとくけど、帰りに回収して、地下に持っていけばニーナが処分してくれるだろうし」


『あ、そうですね』


 普通の(?)MMORPGとかだと、ゴミ箱に放り込めば消えるんだけど、IROはそういうのもないから、ちゃんと処分しないとなんだよな。


「で、応用魔法学の本を回収して行こう」


『どれを取るか決めましたか?』


「うん、水かなって。水、氷、蒸気ってことは氷は出せるはずだし、氷で冷やせればとりあえずシャーベットとか作れそうだからね」


 果汁と砂糖があれば、シャーベット作るのは楽ちんのはず。

 ……なんかデザートばっかり充実してきてるし、そろそろ穀物を探さないとだよなあ。


 キャビネットを開け、応用魔法学の水火風の3冊をインベントリに。

 明日、トゥルーたちにご馳走するための野菜を詰め込んできてるんだけど、収納拡張のおかげでまだ余裕がある。


【空間魔法スキルのレベルが上がりました!】


「お、使ってると地味にスキル経験値溜まってるっぽいな」


『新しい魔法が使えそうですか?』


「どうだろ。空間魔法の魔導書は持ってきてるけど、とりあえず先へ進むよ」


『あ、そうですね』


 今日のツアーを終えて、時間があればかな?

 燻製室を作るのは明日の部活にして、夜はトゥルーたちとご飯にしよう。

 空間魔法もそうだし、応用魔法学<水>も取って、シャーベット作らないとだ。


 ………

 ……

 …


 資料室からバルコニーまでの通路には、この前倒したスケルトンナイトの骨と装備が転がっている。これらも帰りに回収ってことで今はスルー。


「お、今日はいい天気だから結構先まで見えるな」


『すごい眺めですね』


 バルコニーっぽいところに到着。

 前は曇ってて残念な景色だったけど、今日はくっきりと水平線まで見える。

 あ、そういえば、前はこの柵も機能停止中だったような。


【魔導安全柵】

『魔銀でできた柵に、結界魔法と空間魔法が刻まれた安全柵』


『機能停止中というのが無くなってますね』


「うん。ちゃんと動いてるってことでいいのかな? ニーナ、ここって話せる?」


[はい。この区画は通話可能です]


 お、ちょっとぐらい外なら大丈夫とかかな?


「この柵は機能してるんだよね? 触って大丈夫?」


[はい。機能しています。接触しても問題ありませんが、柵の外へ体を出すことはできませんのでご注意ください]


 転落防止用ってことか。

 こんなとこから落ちたらヤバいもんな……


「お? あれって島かな? わかる?」


 水平線に小さく豆粒のように見える影。

 ミオンにもわかるように指差してみるんだけど、どうだろう?


『何かあるように見えます。でも、島かどうかは……』


「無人島スタートした時の記憶だけど、確か一番近い島が北東側にあった気がするんだよ。それじゃないかなって」


『なるほどです。そこからはスタートできないんですか?』


「うん、そこはスタート地点なかったよ。この島の周りにはいくつか島があるんだけど、スタートできるのはここだけだったかな」


『そうですか……』


 あ、そこからスタートできれば、俺が迎えに行けば合流も不可能じゃなかったってことか。

 なんとかして、ミオンだけがこの島に来れる方法があるといいんだけどなあ……

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