第242話 ギルドカードとは?

「まだ時間あるよね?」


『はい。まだ5時前ですよ』


「りょ。ちょっと脱線しちゃったけど、鑑定の続きしよう」


 ということで、残りはアクセの類。

 まずはこのペンダント? アミュレット?

 紐はただの革紐っぽいけど、指先ほどの透明な石に銀の輪っかが通されてるシンプルなアクセサリ。


【知性のアミュレット】

『魔銀と水晶でできたアミュレット。

 INT+3、MP回復30秒につき5』


「うーん、INT+3はともかく、MP回復ばっか持っててもだし、肩凝りそうなんだよな……」


『ショウ君、ルピちゃんにどうですか?』


「ああ、それだ! ルピにはマナエイドしてもらってるし、ピッタリじゃん」


 そうと決まれば、この革紐はよれよれだし捨てちゃおう。

 ナイフで切って魔銀と水晶の飾り部分だけを残す。

 そうそう、一応、浄化も掛けておかないと。


「ルピ、おいで」


「ワフン」


 魔狼の牙のペンダントの革紐を外し、この知性のアミュレットを通して、また付け直してあげる。


「うん、かっこいいぞ」


「ワフ!」


 胸元にきらりと光る水晶。いいな。

 スウィーもぱちぱちと拍手。


「じゃ、次はっと……」


 これはイヤリングかな? 片っぽだけだけど。


【癒しのイヤリング】

『魔銀と琥珀でできたイヤリング。

 HP回復30秒ごとに1』


「これは普通? いや、そうでもないのか?」


『笹のポーションが3秒で1でしたよね?』


「うん。あれは3分間だけどね。HP回復が常時発動してるってのはすごいんだけど、量的にはうーん……」


 ああ、そうだ!


「スウィー、これつけてみない? サイズ的には腕輪になりそうだけど」


「〜〜〜!」


『いいですね!』


 また念のための浄化をかけてから、


【神聖魔法スキルのレベルが上がりました!】


 はい。それはいいとして、イヤリングをスウィーに渡す。


「お、ちょうどだ。って、サイズは可変なんだっけ」


 右手首にピッタリとフィットしたそれを見つめてご満悦の女王様。

 スウィーは多分だけどHPも少ないはずだし、怪我からの回復なら十分効果がある気がする。それでも大ダメージだけは避けてもらわないとだけど。


「〜〜〜♪」


『スウィーちゃん、似合ってますよ』


 その言葉に照れるスウィー。

 あれ? ミオンの声って聞こえるんだっけ? まあいいか。


「次がラストかな……ん? なんだこれ?」


 銀色に薄汚れたクレジットカード? まあ、鑑定すればわかるか。


【ギルドカード】

『氏名:テオ・マクディル

 所属:中央魔術士同友会

 役職:常務理事』


 え? これって……


『ギルドカードがどうしてあの部屋に……』


「うーん、ギルドカードって、確か魔道具を使って魔銀ミスリルで作られてるって話だよね?」


『はい』


 これも同じなんだろうな。

 厄災があって古代魔導文明はほぼほぼ滅亡したけど、ギルドカードを発行する魔導具は残ってて、それを今も使いまわしてる感じ?

 ミオンに説明しつつ、また浄化を掛けておく。


『なるほどです!』


「これ持ってたのは魔術士だけかな? あれ? だとすると、ベル部長とかも魔術士の塔で見つけてる可能性あるな……」


『魔法を使うアンデッドが多いからですか?』


「うん。でも、ちょっと偉い人じゃないと持ってないかもね」


 今まで倒した元素魔法を使ってくるゴーストとかのドロップにはなかった、よな?

 これを俺が使うことはないだろうけど、かといって鋳潰すのもどうかなって気がするんだよな。

 多分これって……あのマルーンレイスになった人のやつなんだろう。蒼月の指輪には最上級管理者って書いてあったし。


「これはまあ……1階のミニチェストにでもしまっておくか」


『そうですね』


 あのマルーンレイス、突然聖域が現れて、それで弱体化してやられたんだろうと思うけど、成仏してくれたのかな……


「こんなもんかな。ミオンは何か気になることある?」


『ショウ君、応用魔法学の本はあの場所に置いてきちゃいました?』


「あ! しまった。持ってくればよかった……」


 てか、なんで忘れてたんだ?

 ああ! 地図を手に入れたから、そっちで制御室までの道がわかって、それでテンション上がっちゃったからか……


『夜にもう一度、見に行きませんか?』


「そうだね。あと、あの資料室は掃除したいと思ってたし……そのまま動力部監視室だっけ? そこまで見に行こうか」


「ワフ!」


「〜〜〜♪」


 今回は安全だよな?

 古代遺跡エリアはクリアしたはずだし、あのバルコニーの扉が開けられなくて詰んだ人たちがアンデッドになってたわけで……


「いや、でも、スライムがいたからなあ」


『ニーナさんがわかったりはしないんでしょうか?』


「あ、そうか。ちょっと聞いてみるか」


 外に出ちゃうとダメって言ってたから、階段まで行けば通じるかな?

 立ち上がって階段の方へと……


「女神像の聖域ってまだ続いてるよな?」


「〜〜〜♪」


 肩に座ってるスウィーがその呟きに反応して頷いてくれる。

 少なくとも1時間弱は続く感じ?


『どれくらい続くんでしょうか?』


「これが死霊都市の区画を浄化して維持するって話だとしたら……アンデッドが出てこなければ、丸1日は持つような気がするんだよな」


 鑑定のフレーバーに『各家庭に』って書いてあったから、なんかこう神棚みたいなもので1日1回拝めばいいっていう。


『置いたままにしてみますか?』


「え、いや、それは……」


 ミオンを置き去りにするみたいでなんかこう……うん、無理。

 翡翠の女神像をそっと拾い上げてインベントリに入れる。で、聖域は消えた感じかな。多分だけど。

 空き箱は放置して古代遺跡へと降りる階段へ。数段降りたところで、


「ニーナ。ここなら話せる?」


[はい。問題ありません。ご用でしょうか?]


「ニーナを起こす前に、港の場所でベノマスライムってのに出会って倒したんだけど、ああいうモンスターは感知できる?」


[はい。自然ではないマナを検知することは可能です]


 自然ではないマナ? こう、空中に漂ってるやつじゃない感じのってことかな?


「ああ、俺の場所を把握してるのもそれ?」


[はい。ショウのマナ構成を認識済みです。また、ショウと同行しているマナガルム、フェアリー、ドラゴンの各個体についても既に登録済みです]


 ルピ、スウィーとフェアリーたち、アージェンタさんと白竜姫様だよな。

 ドラブウルフとトゥルーたちは古代遺跡に入ったことないからまだってことか。


「えっと、それ以外の反応って今あったりする?」


[いいえ。あった場合はお知らせいたします]


「ありがとう!」


 じゃ、夜は動力部監視室ってところまで行ってみるかな。

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