第134話 いろいろビフォーアフター

<10秒前……、5、4、……>


『みなさん、ミオンの二人のんびりショウタイムへようこそ!

 ゲームミステリーハンターのミオンです。よろしくお願いします!』


【ブルーシャ】「キャー♪───O(≧∇≦)O────♪」

【デイトロン】「<チャンネル名決定おめでとう:5,000円>」

【ガーレソ】「<良チャンネル名:1,000円>」

【シデンカイ】「ナイス!x2」

 etcetc...


 えええー、チャンネル名決まっただけで投げ銭飛ぶの……?


『あ、ありがとうございます! えっとですね。チャンネル登録者数が10万人を突破して、鉄の楯をもらえることになって、その時にデフォルトのチャンネル名でいいですか? って連絡が来て……』


【カリン】「まさかの気づいてなかった!」

【マッソー】「<祝!鉄楯!:500円>」

【デイトロン】「<鉄楯おめでとう!:10,000円>」

【ブルーシャ】「<目指せ銀楯♪:500円>」

 etcetc...


 あわわわわ、また投げ銭がすごい勢いで……


『あ、ありがとうございます! これからも「のんびり」続けていきますね。では、ショウ君に繋ぎます。ショウ君? ルピちゃん?』


「こんばんは〜」


「ワフ!」


 俺とルピが今いるのは、リフォームした山小屋の玄関前の階段。


【ルコール】「挨拶かわよ〜」

【ナンツウ】「前の動画に出てた廃屋!?」

【ルマミール】「え、なんか綺麗になってません?」

【シェケナ】「2人のラブラブマイホーム!?」

 etcetc...


 今日はここからスタートして、リフォームした山小屋、蔵、土間を紹介したのちに、飯テロして終わる予定。ルピの話はタイミングを見てかな?

 なんだけど、その前に、


「えーっと、まずお知らせなんですけど、俺とミオンは連休明けからテスト期間に入っちゃうので、来週は動画投稿もライブもお休みします。ごめんなさい」


『すみません』


「ワフン」


【ブルーシャ】「テストはしょうがない! 頑張って!」

【オトトン】「学生の本分は勉強やし、ええんやで!」

【ギュイドン】「大人になってから勉強しときゃ良かったってなるからな!」

【ニクス】「勉強して損はないから頑張れ!」

 etcetc...


 大人が多いからか「しっかり勉強しよう」っていう圧がすごい。


<ちゃんと応えましょうねー>


 そして、すかさず言質を取ろうとするヤタ先生……

 まあ、テスト悪くて部活に制限とかなると洒落にならないから、頑張るんだけどさ。


「うっす。頑張ります」


『頑張りますね。それじゃ、まずはショウ君、後ろの建物から説明をお願いします』


「りょ。えーっと、前の動画で写ってた山小屋をリフォームして、こんな感じに」


 立ち上がり、そのまま前へ進んでから振り向く。

 いい感じに山小屋の全体が映ってるかな? うんうん、コメント欄がすごいことになってるけど、


『で、山小屋のリフォームの前にですね……』


「こっち側の蔵から作ったんだよな。結構、大変だった……」


 右側、山側に建てた蔵へと視線を移す。


【ルネード】「ちょっw 本格的すぎ!w」

【アシリーフ】「ガチ倉庫な件」

【セイキ】「前面はなし?」

【ルマミール】「すごい! ガレージみたいですね!」

 etcetc...


「前面は後でかなって思ってたんだけど、今のままでもいいかなとか。ま、こっちはホント、物置になってるだけなんで軽くで」


『はい』


 中にあるのは、山小屋の古い板や柱の類に、新しく調達した木材の余り。

 各種道具なんかもこっちにまとめて保存してあるのを説明する。


【ポルポール】「石造りなのは石壁の魔法?」

【ナンツウ】「屋根は木の梁なのか」

【ルマミール】「上に少し隙間あるのは風通しのためでしょうか?」

【ドラムン】「秘密基地感あってすこ」

 etcetc...


「石壁の魔法と間に白粘土を挟んでっすね。アーチ組むのは無理なんで、木の梁を多めにして、屋根には薄い石壁って感じで……」


 ざっくりと建て方を説明すると、やっぱり大工とか石工系の人たちが盛り上がってる模様。

 一通り整理し終わったら燻製部屋を作る予定だけど、それはまた次の機会でいいかな?


「じゃ、次かな?」


『はい。山小屋をお願いします』


「おけ。えーっと、1階は元々あったままでリフォームは無し。かなりしっかり作られてて、直す場所も無かった感じ」


 玄関の石段を上がって扉を開ける。

 この扉も作り直したんだけど、前の扉をタックルして壊したのは内緒で……


「2階は柱以外は完全に新しくなってる。床板もギシギシだったし、壁板もやばそうだったし、屋根もまあなんか微妙だったんで……」


【ミドリサン】「なんということでしょう!」

【デイトロン】「<リフォーム代:5,000円>」

【ブルーシャ】「家具とかはどうしたの?」

【ニクス】「ナイスリフォーム代!」

 etcetc...


「テーブルと椅子は元々あったやつで。あ、これは新しく作り直したベッド。ロフトベッドに憧れてたんで。下のスペースはルピ専用ね」


「ワフン」


『私も初めて見たんですが、こういうのって憧れるものなんですか?』


【ラッセーラ】「わかる。ロフトベッド憧れるよね!」

【メイケ】「屋根近いのテンション上がるよな〜」

【ルコール】「主張かわよ〜」

【オトトン】「最強の番犬、いや番狼やなw」

 etcetc...


 そのままテーブルと椅子、ルピのお座り台を説明。

 そして、問題の1階へと続く階段……


「多分、前住んでた人の持ち物があって」


 そう言いつつ、まずは下りたところにある高級キャビネット。

 それをそっと開くと詰まっている本が映し出される。


【ダサトシ】「本!!」

【ナンツウ】「これは知識系スキル取れるやつ?」

【アシリーフ】「なんか図鑑っぽいの見えた」

 etcetc...


 知識系スキルと本の関係はもう一般的なんだなあとか思いつつ、一冊ずつ説明しだすとキリがないので後回しに。


「本と知識系スキルの話はまた後で。先にこっちを……これ、実は魔導具で入れたものを長期保存できる優れ物」


 説明しつつ鑑定結果を見せると湧き上がるコメント欄。


【ディアッシュ】「裏山!」

【ミイ】「偉い人とかも持ってそう」

【チョコル】「今は何が入ってるんです?」

 etcetc...


「えーっと、今は……」


 要望に応える形で開けてみせるんだけど、並んでるのは作りすぎたヒールポーションと肉。


【シェケナ】「完全に冷蔵庫ですね(^_^;)」

【グランド】「ショウ君らしいw」

【ミナミルゲ】「鮮度は大事やもんねw」

 etcetc...


 コメント欄がウケてるのはいいんだけど、俺ってそんな料理してるイメージなのかな。してるか。今日もするしな。


 で、転移魔法陣は無事スルーして2階へと戻る。

 ふう……、カメラに映らないように意識してるの疲れるんだよな。


『次は土間の方ですね』


「うん。えっと、この勝手口はリフォームで新たにつけたやつで、これを開けると……」


 西側へと続く階段を下り、その先の土間には大きな石窯、調理台、テーブルに椅子。

 そして、調理台には今日の飯テロ用の食材が用意されている。


 さあ、飯テロの時間!

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