第109話 素材の良さも加工次第
片付けして、今日は終わりにしようかなと思ってたら、
『ショウ君。部長とセスちゃんから、配信を見たいって話が来てますけど』
「あ、うん、いいよ」
『もう見せちゃっていいんですか?』
「隠せるものでもないし、完成したしね」
途中だったらちょっと渋ったかもだけど、この出来なら問題ないかな。
正面が全開放で蔵っていうかガレージ状態だけど、山小屋のリフォームが終わったら、そっちもちゃんと作ろう。
『兄上、見に来たぞ!』
『……またやらかしてるじゃない』
「やらかしって、これはただの石造りの蔵っすよ」
とはいうものの、ミオンがリストに載せてそうな予感はある。
『さすが兄上よの。それよりも、そのマントの方が気になるのだが?』
「ああ、これか。レッドアーマーベアの革で作ったんだよ。ちょっとすごいぞ」
と、鑑定結果を見せる。
【赤鎧熊の良質なフード付きマント】
『レッドアーマーベアの革から作られたフード付きマント。しなやかさと強靭さを持つ良品。
防御力+23。MP回復10秒ごとに+3。気配遮断スキル+2』
『やっぱりやらかしじゃないの!』
『”す・ご・い”ですよ。部長』
『ふーむ、エリアボスにも当たり外れがあるということかのう……』
「ああ、それなんだけどさ。素材のままだと効果がわかんないし、加工した方がいいぞ。お前も何か持ってるんだろ?」
セスもベル部長、レオナ様たちとエリアボスを倒したって話だし、その時のドロップ品があるはず。売ってなければだけど。
『ウルクの角というのを持っておるぞ。戦利品は二本だったゆえ、レオナ殿と分け合ったのだ』
と得意げなセス。
その他、中サイズの魔石はベル部長、毛皮はダッズさんたちに譲ったそうだ。
『部長の魔石は魔晶石にですか?』
『ええ、純魔はMPの予備を持っておきたいもの。中サイズなら200ほど溜めておけていいわよ』
200っていうと石壁レンガ6〜7個分になるし、結構多いな。
俺もレッドアーマーベアの魔石、古代遺跡パワーで浄化して、MPバッテリーとして使おうかな。いやいや、あれは精霊の新しい住処に……
それはそれとして、
「その角、何か身につける物に加工してもらってみ? 俺のマントも素材の時は何も出てなかったけど、マントにしたらいろいろついたし」
『ほほう! では、さっそく明日にでもシーズン殿に頼むとしよう!』
『うまく行ったらレオナさんにも伝えてもいいかしら?』
「もちろん。てか、できれば早く広めてください。親衛隊の人たちにも伝えてもらったほうがいいかな」
『了解よ。一応、セスちゃんの結果を見てからね』
まあ、そりゃそうか。適当言ってダメにしちゃったら申し訳ないし。
『部長。毛皮をもらった人たちは加工もまだですか?』
『そうね。親衛隊の人たちは、金属鎧の方に偏ってる気がするし、今は余裕がないから、まだだと思うのだけれど』
『でしたら、素材加工スキルも考慮した方がいいかもです』
ああ、そっか。
俺って素材加工スキルも7あって、そこが隠しパラメータを上げてる可能性もあるのか……
『ふむ。革にする段階でも何かしら影響があるのではと?』
『はい。ショウ君、素材加工スキルが7ですし』
『どうやってそんなに上げたのよ……』
どうやってって言われても、必要なもの用意しようとしてたら上がってたとしか。
まあ、一つあるとしたら、
「鍛治の時も思ったんですけど、やっぱ同じことを繰り返すよりも、違うことをあれこれやる方がスキルレベル上がるの早いんじゃないですか?」
確か、師匠もそんなこと言ってたとかいう話をした気がする。
『ククク、兄上ほど、いろいろな事に手を出してるプレイヤーはおらんからのう』
「必要だからやってるだけだっての。それより、開拓地の防衛の方は大丈夫なのか?」
『心配いらないわよ。南西部の開拓地、ラシャード領には今から深夜にかけての人が多いみたいで、交代してきたわ』
あの場所には仕事で帰りが遅い人たちが多いそうで、その人たちにバトンタッチしてきたそうだ。
『我の予想では明後日の夕方か夜が本番ではないかの。それまでは、まだキャラレベル10に届いていないプレイヤーをサポートする方が良かろう』
『ええ、そのつもりよ』
そういうことらしいので、俺としては特に……
「そういえば、南東側の開拓地はどうなったんです?」
『王国は完全に撤退したわよ。建国されたパルテーム公国もよくわからないし、帝国と公国が停戦して難民も帰国しつつあるもの』
『あの古代遺跡の塔は惜しいが、無理をするタイミングではないのう』
まあ、帰れるんだったら帰るって人の方が多いよな。
残る人もそれなりにいるだろうけど、北西側のアミエラ領と、南西側のラシャード領?があれば大丈夫らしい。
「よっと。片付けするか」
『今日は終わりにしますか?』
「うん。明日は山小屋に取り掛かるつもりだし、今日は早めに落ちるよ」
ということで、さっそく大工道具は蔵の中に。明日こっち来る時に、他の道具類も全部持ってこよう。
さすがに1日で改築はちょっと厳しいよな。月火の2日で終わらせて……水曜日はミオンちに行かないとだっけ。
『兄上、まだ質問は終わっておらんぞ』
「え? なんかあんの?」
『作ったのはそのマントだけではないでしょう?』
あ、はい……
追加で説明したのは、同じくレッドアーマーベアの革で作ったブーツ。でも、作ったのってマントとブーツだけなんだよな。
あとは、この石造りの蔵をどういう手順で作ったかをざっくりと説明。
後から、地下に基礎がわりの石壁を埋めるべきだったなあとか、いろいろと反省点も伝えたんだけど、
『基礎を埋めるって……。アミエラ領の石壁だって、そのまま積んでるだけよ?』
とのこと。
そこまで気にする必要ないのかな? でも、あの無人島は火山島でもあるし、やっぱ地震対策しっかりしとくべきだったよな。
「で、明日からは山小屋の方を改築する予定ですね」
『え? 改築って建て直すつもりなの!?』
「いやいや、二階の木造部分がかなり傷んでるから、そっちを新しくする程度で」
上は全部取っ払う予定だけど、四方の柱だけは多分残すことになるかな? 使える部分は再利用しつつ、手早く直したいところ。
明日、明後日と晴れてくれると良いんだけど……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます