第72話 飯テロライブ!

「俺もあんまり詳しいことわかってないんで、間違ってたらごめん」


『だそうです』


【ナンツウ】「全然OK!」

【マスラオボウヤ】「手がかりだけでも助かる!」

【ショウヨ】「先駆者的なボーナスもらった?」

 etcetc...


「あー、ボーナスSPは貰わなかったと思う」


『ですね。また動画を上げると思いますので』


 ってことで、光の精霊の話は終わり。で、そのまま次のネタに。


「で、ここが古代遺跡。一番最初の古代遺跡発見のワールドアナウンスは多分俺かな」


【ジョント】「やっぱりか」

【アサナサン】「デスヨネー」

【モルト】「知ってたぞい」

 etcetc...


 なんか予想通りだったっぽい? 確かにあの状況で一番ありそうだもんなあ。


「じゃ、中を案内するよ」


『はい』


 その言葉に驚くコメントが流れていく。

 ああ、そっか。ベル部長が見つけた古代遺跡はがっつり戦闘あったもんなあ。


「ここはモンスターとか出ないんで。今のところは、だけど。ルピ、行くぞ」


「ワフ!」


 通路を進んで鍛治場に入る。


【チョッケイ】「なんかすごい施設なんだけど」

【ミイ】「これ使えるの?」

【モルト】「炉か!?」

 etcetc...


「えっと、鑑定結果は【古代魔導炉】。MP消費で鉱石をインゴットにしてくれる優れもの」


【モルト】「マジか!」

【ディアッシュ】「裏山!」

【ムシンコ】「え、でも、鉱石あんの?」

 etcetc...


 流れるコメントをスルーしつつ、古代魔導火床も説明。

 やっぱり鍛治スキルを取ってる人たちが盛り上がってるみたいだけど、鉱石はどこからって話になるよな。


『みなさん、続きがありますよ。ショウ君、お願いします』


「はいはい。じゃ、こっちから出て奥へ行くよ」


 奥の扉を出て左へ。そのまままっすぐ進んで、開かない扉へと突き当たる。


「これ開かない扉なんだけど、多分、向こうから開けるのかなって。で、こっち側なんだけど……」


 流れるコメントを横目に見つつ右手の階段を降りると、光苔が暗がりを照らして神秘的な場所へと出る。


【ムチョムル】「何ここ?」

【モルト】「鉱床じゃ!」

【ディアッシュ】「裏山鉱床!」

 etcetc...


 光の精霊を出して全体を照らすと、採掘ポイントが自己主張してくるのが見える。

 掘れるのはごく普通の鉄鉱石なのを伝えたが、それでもうらやましいという反応が大多数。

 普通は国が管理してる鉱山に入らせてもらうか、あまり取れなくなって廃坑にしたとこに行くか。前者は金を払う必要があるし、後者はモンスターがわいたりするらしい。

 うちは無料安全掘り放題だもんな……


「えーっと、今行けるのはここまで」


『じゃ、次は外に出ましょうか』


「りょ」


 来た道を戻ってる間もちらちらとコメントを見てたんだけど、露骨に「ずるい!」みたいな反応はなさげ。

 うらやましがられることはあっても、だからといって俺と替わるかって言われたら……だよなあ。


『出たところは広場ですね』


「うん。あれから特に手入れとかはしてないかな。ああ、引っ越したので石窯は作り直したけど」


 洞窟を出てすぐのところに作り直した石窯。

 その隣には海岸までの道すがら落とした枝を回収して積み上げてある。


【マルタイ】「本格的になってる!」

【レーメンスキー】「今日のご飯なに?」

【チョコル】「いつも兎肉だと飽きません?」

 etcetc...


『今日のご飯は何でしょう?』


「うん、今から捕まえに行くよ。行くぞ、ルピ」


「ワフッ!」


 ってことで予定通り東側の崖沿いを進んだ先、少し下って小川に到着。


【ロコール】「川魚!? シャケ? マス?」

【ミナミルゲ】「いや、やっぱアユでしょ!」

【モルト】「ヤマメやイワナも捨てがたいのう!」

【クランド】「いやここはサワガニとか?」

 etcetc...


『川魚が正解ですね』


「うん。もう囲い罠は作ってあるんで、あとは捕まえるだけなんだけど……いるいる。良かった」


 2、4、6匹かな。

 まずは入口部分を閉じて、あとは捕まえるだけ。


「ルピ、逃げたら頼むぞ」


「ワフン」


 前回同様、手際よく捕まえては壺へと放り込んでいく。

 慌てて岩を飛び越えようとしたフラワートラウトは、ルピがしっかりとキャッチしてくれる。


「いいぞー、ルピ」


『今日も大漁ですね』


「1匹もいなかったらどうしようかと思ってたよ」


 ま、昼のうちに何匹かいたのは確認してあったけどね。

 石窯のところまで戻ってきて、いざクッキングタイム。


『ショウ君、料理上手ですよね。普段も妹さんに作ってたりするんですよ』


【ネルソン】「マメな男はモテるぞ」

【ブルーシャ】「いいなー。私もご飯作ってくれる彼氏ほしー」

【シェケナ】「ミオンちゃん頑張って!」

 etcetc...


 マメな男って……

 うちじゃ、誰もやらないからやらされてるだけなんだけど。


「料理って言っても、今日のは内臓わた取って塩ふって焼くだけだけど」


 ちゃちゃっと捌いて、串に通して石窯へ。串もそろそろ金串とか作るかな。


『塩はお昼に作ったものですね』


「うん。素材加工スキルのおかげで、いい塩になったと思う」


 パチパチと脂が滴って弾ける音がし始め、いい感じの焼き色と香ばしい匂いが漂い始める。


「そろそろかな。で、皿に移して、仕上げにグリーンベリーの果汁をぎゅっと」


 ジュワッという音がし、立ち登る柑橘系の香りがさらに食欲をそそる。

 これは初めて試したけど、大正解に違いない……


【レーメンスキー】「やばい。もう、めっちゃ美味そう」

【ノンノンノ】「なんという飯テロ」

【ミナミルゲ】「あー、渓流釣り行きてえ!」

 etcetc...


 いい感じに飯テロを食らってくれてるようで何より。


「じゃ、いただきます」


「ワフン」


 箸も作ったけど、やっぱりこれはガブっと行くのが至高。(異論は認める)


「あつっ! うまっ!」


 脂の乗ったホクホクの白身に若干の塩味。皮の苦みはグリーンベリーの酸っぱさがうまく調和して絶品すぎる……


【アモクン】「やーめーろー!」

【ノンノンノ】「夜のこの時間に罪な放送すぐる……」

【デイトロン】「<フラワートラウト定食:10,000円>」

【ガーレソ】「ナイス定食代」

 etcetc...


『うう、いつもずるいです。私、これずっと見てるだけなんですよ? ひどいと思いませんか?』


【リーパ】「それはもう拷問やね……」

【ネルソン】「俺、明日の夕飯は焼き魚にするわ」

【シェケナ】「ミオンちゃん、リアルで手料理ご馳走してもらおう」

 etcetc...


『いいですね。今度、手料理ご馳走してもらいます』


 え、マジで?

 いや、まあいいけど……

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