第71話 いろいろと飛んでくる
時間は7時40分。ライブ開始は8時半の予定だから、準備の時間は十分のはず。
美姫はまっすぐIROへ行った。ベル部長も今日はこっちに出演するわけでもないし、明日のライブに備えての準備をするとか言ってたし。
「ばわっす」
『ショウ君』
「こんばんはー」
今日は一番乗りかなと思ってたのに、ミオンもヤタ先生ももういるし。
「今日のお昼の様子を見せてもらいましたがー、塩はちゃんと作れたみたいですねー」
「あ、はい。ちゃんと素材加工スキルも関係あったみたいで」
ちなみに塩は鑑定しても【塩】としか出なかった。リアルと同じってことかな。
『あと採集してた海藻は海苔ですか?』
「うん、多分? とりあえず天日干ししたら、良くみる板海苔っぽくなったし、今日のライブで食べてみようかなって」
『いいですね!』
二人とも俺が昼に何してたか確認済みっぽいし、改めて説明はなくて良さそう。
「ライブの準備はもう終わってる感じ?」
『はい。それで少し試したいことがあって』
なんか、ミオンの放送に流れてくるテキストコメントを、俺の配信まで届ける方法があるらしい。
「ショウ君がまったりプレイするならー、コメント見れた方がいいでしょうー」
「それはそうですけど、どのコメントを拾うかはミオンに任せてるんで」
どういう雰囲気なのかぐらいは確認するけど、個別にコメント見始めると、目移りしてゲームが手につかない気がするんだよな。
ベル部長はそのへんの匙加減がすごいっていうか、戦闘しながらコメント見て返事して、笑いも取れるっていう、どっかおかし……すごい人だし。
『はい、任せてください』
「で、IRO行けばいいですか?」
「はいー、いつも通りミオンさんにライブ配信してくださいー」
ヤタ先生の話だと、メニューの配信設定を少しいじる必要があるんだとか。
なんで、早速IROに。そのままライブに突入かな?
『ショウ君、いってらっしゃい』
「あ、うん、いってきます」
ヤタ先生、ニヤニヤするのやめてください……
***
<メニューのサービス設定から『外部データ接続を許可する』にチェックを入れてくださいー>
「りょっす」
この接続を許可すると、ゲーム外といろいろなデータをやり取りできるらしく、それを使って、ミオンのスタジオに届いたコメントをこちらにも流せるらしい。
『大丈夫ですか?』
「うん、これでいいのかな?」
【ヤタ】「どうでしょうかー?」
「あ、見えました。大丈夫そうですね」
これ、いつも出てると気になるな。
『視界の左右のどちらかに閉じておけるそうですよ?』
「なるほど。こうかな?」
軽く右手でコメントウィンドウを右へずらす。
このへん? いや、もうちょい右ぐらいで、見るときは首をそっちに向ける感じ……
「ワフ?」
「ああ、ごめんごめん」
ルピにはメニューとか見えてないし不思議だろうな。
あれ? でも、ミオンの声は聞こえてる風だし……まあいいか。
【ヤタ】「大丈夫そうですねー」
「このままライブ始まるの待つのでいい?」
『はい。あと20分ほどです』
「おけ」
今のうちに洞窟の広間をちょっと片付けとくかな……
………
……
…
<そろそろですよー>
「りょっす。今、どれくらい待機中?」
『3000人ぐらいです』
「マジか……」
今日の内容はまったりだし、飯テロ予定なんだけど大丈夫かな。
いや、でもまあガチの攻略系と思われるのもアレだからいいのか。
<10秒前……、5、4、……>
『みなさん、こんばんは。ゲームミステリーハンターのミオンです。よろしくお願いします!』
【ブルーシャ】「♪─O(≧∇≦)O─♪」
【シェケナ】「ミオンちゃーん!」
【ガーレソ】「はじまた!」
etcetc...
うわあ、すごい勢いでコメントが流れてく……これ読めるの? って思ってたら、
【シェケナ】「<祝!収益化!:1,000円>」
【ノンノンノ】「<収益化おめ!:1,000円>」
【ブルーシャ】「ナイス!」
etcetc...
うわぁ……
『な、投げ銭ありがとうございます! でも、あまり無理しないでくださいね?』
【シェケナ】「だいじょぶだいじょぶ」
【ガーレソ】「<無理のない範囲:1,000円>」
【デイトロン】「<前回のライブ分:10,000円>」
【ノンノンノ】「デイトレ神キタコレ!」
【シデンカイ】「もちつけおまいら」
etcetc...
えええええ……
なんかもう怖いんだけど……
<ミオンさんー、落ち着いてくださいー>
『え、えっと、たくさんの投げ銭ありがとうございます。皆さんのおかげで収益化できました。
このチャンネルは、私がショウ君の無人島のんびりプレイを実況するチャンネルですので、ゆっくりとお楽しみいただければと思います』
【ブルーシャ】「いいねいいね」
【シェケナ】「無理しないでね」
【デイトロン】「まったり了解」
【ミンセル】「そろそろショウ君プリーズ」
etcetc...
良かった。ちょっと落ち着いてきたかな?
『はい。では、無人島のショウ君につなぎますね』
<いつも通りでいいですからねー>
ういっす。もう驚きすぎて、逆に落ち着きました。
ベッドに座って、ルピをあぐらの中に入れてスタンバイ。
『ショウ君、ルピちゃん、こんにちは』
「ようこそ、ミオン」
「ワフン」
コメントがまたすごい勢いで流れ始めたけど、もうちょっと読めない感じなのでスルーしよう。
『まずは今いる場所を、ライブを見ている皆さんに説明してもらっていいですか?』
「おっけ。えーっと、前のライブでゴブリンを殲滅したけど、その時にあいつらがいた洞窟で通じるかな?」
『はい、通じてますよ。軽く中を見せてもらっていいですか?』
「うん、散らかってて恥ずかしいけど」
ベッド、セーフゾーン、片付けてあるつもりのガラクタの山、うっすらと光って足元を照らしている光苔、そして、
「で、この部屋を照らしてくれてるのは、あの光の精霊」
見上げた先に浮いているのは淡く光る玉。
【マワラナイン】「ふぁっ?」
【ヨチヒコ】「は???」
【サブロック】「光の精霊!?」
【ナンツウ】「どうやって!?」
etcetc...
『ショウ君、光の精霊について教えてもらっていいですか?』
「うん。まあ、俺も偶然だったから、これで確実ってわけじゃないんで」
『はい』
ゴブリンを解体して得た極小の魔石。それを洞窟に放置してたら魔晶石になったこと。
光苔の隣に置いてたらいつの間にか【精霊石(極小):光】になってたことを話す。
【ナンツウ】「マジか! めっちゃ助かる!」
【カリン】「他の精霊も同じかも!?」
【ロガッポ】「(((o(*゚▽゚*)o)))♡」
【デイトロン】「<先物情報料:10,000円>」
【マットル】「やべえ、魔石全部売っちゃってる……orz」
etcetc...
まあ、今ごろはセスのギルドが光の精霊石を作ってると思うので……
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