第十六業俯瞰者達とRock Is Dead ②


「俺こそが世界最強の男だッ!」


ラストアポカリプス、闇魔法、これの世界観では暗黒術ダークスキルと言うらしいが放たれた後。


「こ、この魔王をここまでこけにするとはな……う、うげげげ、うがーーーー!」


そうして勝利のBGMが流れた。


「何してるんだ?イッチー」


銀髪に妖精眼をした男がノートパソコン、そう見えてかなりハイスペックだ、大方、自作パソコンである。まだ薄くないし厚い方でそれでいて重量は他のどれよりも重たそうだ。


「フリーゲーム作ってるんだよ」


「ご苦労なこったな」


「さて、と」


パソコンをスリープ状態にする。


「どこ行くんだ?」


「お前も来るか?仕事なんだよ」


「………三割寄越せ」


「まぁいいよ」


高級旅館の関係者以外立ち入り禁止の先。


その更に奥地、気配を殺すというのは彼等にとっては造作もない事だが大広間がある。


人の姿をした何か、触覚が生えているのがいる、眼鏡をして大きな蛇のような首と顔をしたのがいる、白い大猿がいる、触手だらけの何かがいる、ヒキガエルとチェシャ猫を合わせた姿なのもいる、黒い二足歩行の黒い龍が首輪をした女子供を連れて眺めている、そうした全ては魔物、俯瞰者と呼ばれる者達だ。


拷問という言葉が想定されるほど凄惨な殺人傷害の現行犯、針山地獄、いや串刺しにされている、血の池地獄、本当の流血だけで出来ている、食べられているのもいる。


「逆だったかもしれねぇ」


「はい、禁則事項」


「それも禁則事項だぞ」


「これあれだろ、ベルセルクの蝕もだろ」


「まぁいいよ」


そういうコントのようなやりとりをする。


白い大猿がこちらに近づいてきて脅す。


「おい、また不死人間おもちゃが増えっ」


その先の言葉は言えなかった、顎から下を切り落とされた、ギロチンされて真っ二つになるように、頭と胴が離れ飛んでいった。


「■■■■■■■?■■■■?」


触覚が生えているのが何か言葉を発する。


眼鏡をして大きな蛇のような首と顔をしたのが何か言い始める。


「地球の日本人の言語を話せ、どうやら、そいつら、我等を殺しに来たようだな………」


人間、それはあらゆる生命の頂点に位置する、それは例え、天使や悪魔も例外ではない、その上を上回る、人を指示して、人を支配するのと同じように、魔導とは魔を導くを意味しているが、そのためにはまず、降魔こうまの過程を挟まないと行けない。魔を倒して魔導師、自分の力を分からせてあげるのだ。


その可能性の数字は那由多の彼方に等しい。


「さて、殺すか」


これこそ人外魔境ダークサイド、だがしかし。


「怪物を殺せるのは同じ怪物だけだよ」


銀髪、妖精眼をした男がそう告げた。


地下、そこから地上の出来事。


「俺の子供に何をする!」


風穴を開けられてなお庇護欲は強く、実の子供を金的した人形を思い切りぶん殴った。


アッパーカット、天高く飛び、本体も天高く飛ぶ、極限殺気、その能力の使い方としては相手を殺すための治癒過程を挟める、闇医者に治療させ、金銭を払い(踏み倒しても実は良い)、そうしたのも可能と言えば可能だ。


「幻爆・大獄花火」


鬼柄家専門の異能、その能力はあらゆる全て、あらゆる現実的な要素の霧散にある。


空に大きな花火が突如、二つ現れた。


「………俺の活躍シーンが!?」


「………あー、悪い」


鬼柄親子はそうして温泉に入り直しに行った、そこにはまだ生きてた緋走村邪がいた、裸体、右肩には獅子、右腕裏には狐、左肩には饕餮、左腕裏には猿、左足には虎、右足には熊、お尻には兎、腹部には蛇、胸元にはメキシカンスカルが三つ並べられている。そして背中には髑髏のマリアが描かれている。


「イカしてる!?」


鬼柄強志が叫んだ。


「獅子、狐、猿、虎、熊、兎、蛇、獅子は傲慢の大罪、狐は強欲の大罪、猿は憤怒の大罪、虎は暴食の大罪、熊は怠惰の大罪、兎は色欲の大罪、蛇は嫉妬の大罪、七つの大罪が勢揃いじゃん、てかこれ絵師イラストレーター大変だろ」


鬼柄猛がキラキラと眼を輝かせた。先程、現在殺戮を続ける二人もそれで絡んだ後、風呂場でタイマンしようぜ!って戦闘を始めた。


俯瞰者達が足早に風呂の外に出ていく。


鬼柄強志もそれを見て。


「俺の活躍シーンも割愛された!?」


因果応報、極限殺気が異能のろいが時たま起こす逆凪だった。


「地球へようこそ!ってなぁ!」


千切っては投げ、千切っては投げ、のような話、例えば、例え?絶対に勝てないし、それを上回る力を持てず、力関係は覆せないならば勝利する確率はあるし、怪力が持てるようになる、まさに弱者による強者を倒すジャイアントキリングが行われていった。一本的な殺戮は不可避だ。


「俺の場合、どうすると思う?」


銀髪に妖精眼をした男が言う。


「この眼より俺の脅威とはね」


元より、彼は妖精の類いではなく、妖精等と同じ立場になって考えろと強いられた存在。


異能、西洋百鬼夜行潰しワイルドハントキラーだ。


「幻想が筋肉に勝てると思ってるんじゃねぇよ」


暴虐、その言葉通り文字通り、暴れて虐げていった、そこにはここ一番の化け物がいた。

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