第十二業表層の戦い、深層の戦い


その場所はあらゆる建築用式を取り込んだ巨大な家、こと違法建築と言われるのは様々な話がある、違法増築という言葉もある。


そういう家は様々な意味合いから重なる、山奥のお寺というのはすんなりとした建築用式で、歩きやすさ、仏像の清浄さから発せられる空気のようなの良いのが肌感覚で良いとされる、そうしてお寺はお寺と認識する。


その家は複数の家を取り込んでいるのだ。


本家大本の大屋敷、そこから様々な離れ、借家やアパート、借り暮らし、ホテルやネット喫茶などは別として。様々なのがあった。


家というのは大量生産の流れの資本主義によって次々に生み出されるようになった、地方の都市開発、東京郊外のベッドタウン、そうしたのが、次々とどんどん増えていった。


その中の離れは川の上の場所にあり、また、一軒家で二階というのが無かった、小さな家で、そこからもう一つ廃墟の家がある。


その二つに廊下や階段が接合されて、更にはその二つからも廊下や階段が接合された。


それがどこまで伸びているかは分からないが他の全てがそこに繋がっているのだろう、その他にも山の中には


一体どういうかは、ここでは明言されない。


分かっているのは晩酌を邪魔された離れの主がその家の特性を利用しているのであった。


その家のとても小さな空間で椅子とこたつと棚、そしてテレビを棚の上に置くしか無い、その小さな空間の後ろには鹿の頭蓋骨が飾られている、そして更にそこから短い廊下があり、そこの先には玄関というのがあった。


ガタガタと、何かの存在が玄関を叩く。


「チッ!」


舌打ちをする老人は前門の虎、後門の狼という言葉を思い出した、敵は更に増えている。


「目の前の事に集中しろよ、じいさん」


刀がいつの間にか緋走村邪の右腕に完成されていた、その刃が伸びて、その老人の両腕にこれまたいつの間にか形成された鉈のついた二丁拳銃、ガンナタと刃にぶつかり合う。


「どうにも王の座を狙っていたようだな」


老人の座っている椅子、それはかつては手製の竹で作られた簡素なモノだったがそこに座れるのは家主と決まっていたが、その子供は無意識的にその場所に座りたがっていた。



その証拠に彼の片方の腕はだらしなく垂れ下がっているままだが


異能というのは一人一つが原則である、それは精神性、そして魂が人間には一人一つずつという原理もある、その原理的なのが、この男には両方、例外的になっているのだった。


また、異能は遺伝するという性質も有していて、先祖やの使えた異能はその子孫も使えるようになる、遺伝学では隔世遺伝かくせいいでんと呼ばれるが一般的に眉唾物とされている。


そして、その前にガンブレードというのは、弾丸を放った勢い、その振動で斬撃を強めていくためにある。二撃必殺とも言われる。


弾丸、黒い水、影そのものの黒い水。


首の横をかすめて、それを出血させた。


「お前の能力は、そしてに弱い、つまり袋小路、ネズミ取りにいれられる鼠、その状況を最後に作られると弱い」


「それで?」


退魔たいまじゃなく祓魔エクソシズムが必要となった」


「…………まぁ、分かる話ではないな!」


「いや、理解したぞ、この場で一番の脅威はお前の中に眠る大魔王サタンという事だ」


賀茂照義は緋走村邪の頭を握りしめて放電する。


「異能には言霊ことだまを言うことで強くなる作用がある、これを詠唱強化えいしょうきょうかとも魔術師は言うだろう、この雷の起源にはユダヤ教がある、お前達の太極図、そもそも陰陽道にもユダヤ教、カバラのセフィロト、クリフォトが関係する、、魔は神に敗れてしまう」


「だからそれでどうするかって聞いてるんだよ!!!俺様を殺すことなんざ!西暦0年から誰も出来ていないんだよ!ボケがよ!」


「もう一度言おう、だ」


そうして賀茂照義は放電を継続した、それに更に、白い水、光そのものの白い水を放つ。


それもまたであるだろう。


と呼ばれる存在は唯一神YHVHの神威の前には限りなく無力だ。


「この異能を使おう!万魔殿の住人達ダークサイダーズ!」


魔、魔、魔、あらゆる魔、およそ全ての魔、今日日、ファンタジー作品やゲームにある、その中でも森に住まうエルフが闇に染まった姿、ダークエルフ、緑の鬼人ゴブリン赤い帽子レッドキャップ闇の精霊インプなどの悪に属する妖精達、そしてギリシャ神話におけるハーピー、ケンタウロス、ミノタウロス、そうした神話上の怪物達も魔という概念に含めていく。


その全てを饕餮とうてつ、体は牛で、曲がった角、虎の牙、人の爪、人の顔などを持つ。饕餮の『饕』は財産を貪る、『餮』は食物を貪るの意である、それに食べさせた。


中国において、その怪物の名前は有名だ。


魔を食らえるほどの魔、それを魔除けにした、だがそれは蟲毒を強いるのに似た。


魔を食べれば食べるほど強くなっていく。


その存在が玄関に向かって飛び出していく、鬼が出るか蛇が出るか、そのどちらも、その大魔王の前においては味方でしかない。


「ウガァラー」


「ウガァラー」


「ウベァラー」


生存の反対は死亡、その背反する存在が一つの概念、不死身ゾンビとなった姿。


それが大量に玄関から雪崩れ込んで来る。


「ゾンビ兵!」


賀茂照義がその服装が米軍、彼が在日米軍を訪問して、向こうの異能者と訓練として手合わせした時、そういう姿には見覚えがある。


因果いんがは一定値を越えたいと変化しないか、まぁいい、今度皆殺しにする」


二人がそれに気をとられた隙に天井が崩壊して、また饕餮とうてつがやって来た。


それに更に気をとられた。


ボギリボギリ、空間そのものに押し潰されるように、それぞれ両腕が折れ曲がっていた。


「「これくらいで戦闘続行不可能になるとでも?ナメられたもんだな、クソガキが!」」


同音、同じ言葉、同じ心の中ハラワタだ。


電気で無理矢理動かし、光と影で無理矢理動かし、まずは電気と光と影で饕餮とうてつを倒す。


光と影に蜂の巣の上、雷を全身にされたのだ、これに対して生存可能なのはいない。


緋走村邪という存在がいねんを除いて。


「逃がすか!!」


緋走村邪はゾンビに刀一つで向かっていく、大魔導師だいまどうしとして魔を導いた後、彼はその全てを逃走に使う、三十六計逃げるに如かず、元より想定外があった。


あわよくばここで両方殺せれば良かった、だが、自分という魔導具の中身ハラワタを暴いた。


その結果、裏切りが即座に発生したのだ。


彼は野外に出て逃げ、異常に気づく、ゾンビ達は全て、それはまるで逃走と追尾がであるようだった。


「「「相反結合ジンテーゼ」」」


三人同時にその異能の言葉が放たれた、厳密には二人と人間の念を込めた魔導具だ。


複合化した家、その要塞の中枢部セントラル、そこには十の鎧、その後ろには掛け軸があり四字熟語が習字で描かれていた。


第一の鎧の後ろには『陰陽和合』。

第二の鎧の後ろには『天魔外道』。

第三の鎧の後ろには『譎詭変幻』。

第四の鎧の後ろには『剛力無双』。

第五の鎧の後ろには『緩急剛柔』。

第六の鎧の後ろには『絶対正義』。

第七の鎧の後ろには『悪鬼羅刹』。

第八の鎧の後ろには『長袖善舞』。

第九の鎧の後ろには『暗黒正義』。

第十の鎧の後ろには『海闊天空』。


似た言葉は絶対正義と暗黒正義だけだが他の鎧はそれぞれ形も違っているのだった。


特に第十の鎧は魚鱗のような飾りが各所に飾りつけられている、アトランティス王の物とも見間違い、その複製品レプリカにも見えた。


第一の鎧の『陰陽和合』は相反結合ジンテーゼの言葉と似ている、むしろその通りだった。


「私はただ、日米同盟レズセックスがしたかったのよ」


軍服を来た美少女、米軍部隊CCクルーエル・クライム部隊の一員。


彼女は鞭を持っていた。


「ふむ、我ら血族と婚約したいって事ね」


第八の鎧がそういう答えをした。


「断じてならぬ!こいつの魂は黒色ダーク!」


第六の鎧がその答えを拒絶した。


第十の鎧は沈黙を続け、第七の鎧は。


「三千世界の女性、いや男も女性、それが我が覇道、全世界各国に妻を持ってこそ覇王」


と、言い。


「………愛するなら何にしても一人だよ」


それに第九の鎧がそんな事を言う。


第二の鎧がこんな事を言う。


「我ら一族郎党皆殺しにしてそうして滅ぼすとする、そのを吐かぬならマシだろう?立場を弁えている、かつての大統領イットよりもな、その鞭、内柔外剛だろう?」


「それは俺の台詞だ!」


第四の鎧が内柔外剛の言葉を奪われた事に激怒する、彼にとって剛とは強い意味を持つ。


「まぁ何にしても男が百合に挟まるのは良くないよ」


第八の鎧がそんな一般論を言う。


第三の鎧と第五の鎧は何か言える口があったとしても、それは言葉には出さなかった。


第一の鎧が言う。


「陰と陰、それってどうかと思う」


「今の時代なら犯罪的な言葉だぞ!?」


第六の鎧がそんな冒涜的な言葉に反論した。


「………まぁ、純愛は全てに勝るわ」


ッッ!この俺に勝利すると?」


第七の鎧は嬉しげだった。


「昔の時代でも犯罪な言葉だぞ!?」


第六の鎧がそんな変態的な言葉に反論した。


「他人の恋愛に口を出すな」


第五の鎧がそんな事を言い、第三の鎧が。



という言葉を吐いて、この場は一旦終わる。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る