第十一業会合会合会合、終点、ラスボス戦前へ
愛はお互いに見つめ合うことではなく、共に同じ方向を見つめることである。
サン=テグジュペリ
呪禁というのは古来より呪禁道と呼ばれ、それは呪術師と呼ばれる者達にとっては必須科目であった。あらゆる術式を不成立にさせる、そういうのを『封印』と呼ぶ。
梶木鮪三千世界の蟲毒の
鬼柄猛とその父、鬼柄
鬼のようなガラの悪い男だった、その炎のタトゥーは今にも燃え上がりそうなのは、彼という男の危険さを表しているのだろう。
賀茂吉輝とその父、賀茂
貴賤を問わなければ普通のビジネスサラリーマンのキャリア組にも見えてしまう、その冷静沈着があらゆる企業で的確な判断をするだろう、それが後ろめたい事に使われる。
紛れもなく
李緋走とその父、
光無、闇無、そして基本的に
ミオスタチン関連筋肉肥大、何もしていないのに筋肉が発達すると、一見すると良い事尽くしのように思えるが、早いスピードで筋肉が成長するのはエネルギーを消費、カロリー消費率が人一倍ある、幼児ですら体脂肪は殆ど付かず空腹にも陥り易く、その体を維持する為に常人の倍以上の摂食をしなければならない、筋肉と骨格のバランスが取れず人体形成に悪影響を及ぼす症例もあり、適切な処置をしなければ命に関わる場合も多い。
気づかなければ餓死寸前になるほど。
それでも戦い抜くことは第二次世界大戦において東南アジアに侵略した時度々起こった、仮にそういう
鬼柄強志は闇無明刹のそれ故の食いっぷりを見た後、この部屋に似たヤツがいるのを連想した。
彼が孕ませた子供の片割れと仲良くしている闇無と同じ呪禁をされた梶木鮪三千世界の引率者、今では母親代わりである獅子崎九里亜、彼女もまた食いしん坊であった。
その二人には壁があるようだ。
地方テレビの番組を画面越しでは一緒に見ながらも、そこには壁があるように見えた。
「なぁ」
「なに?」
「いやなんでもない」
「なんでもないって事ないでしょ?」
「なんていうかなぁ」
「なによ」
「そうだ、お前、今、何の仕事してる?」
「さぁね」
「ほら、そうやって濁す」
「あなたの方がお茶を濁してるわよ」
一方、和室の部屋の片隅。
バケモノモンスターズ、略してバケモン、それは子供達の間で流行っているゲームだ。
今は販売されたばかりのガーネット/アクアマリンというシリーズが流行っている、それをやっているのが賀茂吉輝と李緋柱だった、通信対戦バトル、それがそこではされていた。
「いけ!キラチュウ!百万ボルトだ!」
と、叫んだのに。
「のわー!こうかばつぐん!」
と返されていた。
「やっぱり、シザリンガとサメハマーはカッコいいとこあるけど、駄目じゃないか?」
梶木鮪三千世界、獅子崎九里亜、そして忍者、くの一がいた、
「二連続でやられたが次はハガネーロだ!」
黒いゴツゴツとした蛇のようなバケモノが飛び出した、はがね、そして、じめん、それはもう、でんきとの相性は悪いようだ。
「考えたものだな!」
「うんうん、でもメタグロイも良いよね」
メタグロイ、四本足の不定形の金属生命体、タイプはエスパーとはがねである。
「あーそれもいれてる」
「妥当な判断だね」
彼女もまたバケモノモンスターズ、略してバケモンをやり進めているようであった。
「今の環境はこれか、そしていずれ………」
彼女もまた、前世界記憶を有していた。
自分の息子、鬼柄猛は梶木鮪三千世界と会話をしている、彼女が忘れた天狗塚の件は彼女の
「で、夏休みの宿題、どれくらい進められた?」
「まずまずだな」
「そういってやってないんでしょ」
「かもな」
そうしたどこにもあるような会話をしていた。
「ん?照義どこいくんだ?」
「喫煙だ、旅館内に喫煙所がある」
そうして、鬼柄強志の視点から変わる。
「さて……」
「ん?どっかで見たことあるおっさんだな」
賀茂照義はその男が喫煙所にいながらも臆せず、入っていった。
緋走村邪と呼ばれる男であった。
「んー、三世代勢揃いって感じだな」
「お前のとこもか?いやお前は?」
その存在感が先程の誰かに似ていた。
「緋走ってのは何も変わってないよ」
「そうか」
赤いスーツはどこまでも赤いが、その襟を捕まれて、背後の壁に頭をぶつけられた。
よって新しい赤色がその赤色に追加された。
「で?お前は何が目的だ?」
「さぁね、俺は自由に生きればそれでいいんですよ、この世の中、
「バランスブレイカーでもあり、ルールブレイカー、知っていてやるのがたちが悪い」
「そうだ、知らないままやるより悪い事だ」
「ちっ、まぁいい、まだ、前日では
彼の両目は殺意が怒気として色濃くなる。
「バカが、俺を殺すのにどれくらいの時間がかかっていくと思うんだよ」
場所が変わる、時が切断された、その
透き通って整った鼻、今日日プチ整形と言われるものだが、本来のあらましは凄惨極まる。坊主頭、鋭い眼光は日本のあらゆる暴力団の組員達や組長達よりも研ぎ澄まされている。それが帽子と茶色いサングラスで隠される。イタリアンマフィアのようで、前の世界ならとある政治家の着こなしのスーツ姿だ。
そんな謎の男は旅館とは違う和室にいた、刀、刀、刀、刀、それが剥き出しになっていながら、その椅子の背もたれになっている。
座椅子でこそあるが異様で異常だった。
鋼鉄、それも日本の
足の小さい単なる木の机、高級な鬼殺しとコップ、おつまみは天然マグロ、醤油はワサビを既に溶かしている、晩酌をしていた。
「………なんじゃ?」
「
突然の出来事老人は困惑、理解した男二人。
「で、殺すヤツが一人増えたところでなにかがどうにかなるって話じゃないだろう?」
落ち着いて賀茂照義は煙草を吸い始めた。
アメリカンスピリット、通称『アメスピ』、パッケージにインディアンが描かれている。
室内は明るい、彼の影も現れていた。
ジャポンッ、と背後で音がした、彼の背後からだ、その正体を掴むべきとさて掴む。
鮫、大型、映画では人を食べるタイプ、それが大きくも、黒い影として、蠢いていた。
「これは魔導具どころか魔物だな………」
魔導具とは魔物を憑依させてロボットのように動かしたり、武器として形にする物だ。
魔物そのものを操るのは大魔導師と呼ばれるものしか出来ない、そもそも魔導師とは。
バチバチと、人体ではおよそ発せられない電圧と電力、それが賀茂照義から発せられた。
大きな黒い影に電気が走る、それに応じて、老人も放電した、この法則性を因果応報と誰かが常々口を酸っぱくして言う。
陰陽師ならば
だが、それで丸焦げにならずにいた。
「なんじゃ?」
もう一度、彼は疑問視を続けた。
「………同調をややしたが、この鮫、その辺の海産物が年をくっただけじゃないような」
「答えを言ってやろうか、全ての鮫の父、大きさはともかく、常に激怒で狂乱している、なんていうかそれで表向き冷静に見えるがヤンキーチックはキャラ被りがギリギリだぜ」
「………ちっ、クトゥルフの化身か」
賀茂照義はその神話体系を少なからず理解する事にした、それは常識外の『亜』、その亜の神、つまりはあらゆる神話体系から解放された概念の残留物の混合した姿だ。
だが、ある程度既存の神話との整合性が含まれている場合がある、ニャルラトホテプはインドのヒンドゥー教のシヴァのマハーカーラ、それは大いなる暗黒を意味すると同時に大いなる時間を意味する、破滅するだけの概念、破滅するための概念、世界の終わりと滅びを渇望するドゥームズディ・カルトのための概念である、と、彼は推測をしていた。
クトゥルフは一番原始的な亜の神であり、海の性質の
それを天魔の一種、いや天魔竜の一種、天魔神の一種と呼ぶべきなのかもしれない。
「何にしてもここで殺せば全て丸く収まる」
賀茂照義は煙草を口から高級な鬼殺しの入ったコップに向け痰を吐くように吹き捨てた。
「なにしやがるんじゃゴラァッ!」
老人の溢れる怒気、殺気、殺しへの煩悩と欲望、殺傷行為という人間の原理的な欲求。
「一時休戦、一時同盟だね、照義さん」
「………次はお前だからな緋走」
最終決戦が一足はやく、始まろうとした。
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